本作は1984年にアーケードで稼働されたカプコン初期の同名縦スクロールシューティングをその翌年の1985年にファミコンへ移植されたもので、同社の"19シリーズ"の第一作であり、カプコンのファミコン参入第一弾タイトルでもあります。このファミコン版は初期カプコンファミコン作品(『ソンソン』『魔界村』等)の移植を手掛けたマイクロニクス社が担当しています。
タイトルからわかる通り第二次世界大戦を題材とした作品で、プレイヤーはアメリカ戦闘機"P-38ライトニング"を駆って日本軍に挑むという内容です。

縦スクロールシューティングとしては初期作品に当るので、内容としてはごくシンプルで自機のパワーアップは地味なものですが、本作独自の要素としてアイテムを取る事によって自機の横に「サイドファイター」(ダメージを受けると喪失)が付いたり、「宙返り」を行うことができます。「宙返り」は使用回数に制限はありますが宙返りしている間は当たり判定がなくなります。主に回避用で、自機が画面端に追い込まれた時に特に有効です。
ステージクリアー後のレザルト画面では、換算スコア表示の他に、撃墜率が表示されるのが当時としては珍しかった(もしくは新鮮だった)ように感じます。続編『1943』では撃墜率がクリアー条件として採用される等、19シリーズではお馴染みの要素となっています。

このファミコン版は、アーケード版の要素はほぼ再現され、編隊を組んで出現する敵機や、19シリーズの象徴である大型ボスの「亜也虎」等、静止画を見ればそこそこよく出来ているように感じますが、実際に動いている画面を見るとかなり残念なところがあります。20~30fpsで処理しているようなガクガクさで、操作してもっさりした動きにいらつきを感じます。他の初期のマイクロニクス社の作品で見られた「見た目は良くても動きがイマイチ」という代表例の一つといえますが、操作の反応の悪さのせいで一見大人しい敵の攻撃すら避け難く、見た目よりも少し難易度が高く感じられます。
これはアーケード版からあったものなので仕方ありませんが、各ステージの変化が乏しい上、同じ様なグラフィックのステージが32面も続く長丁場だったり、BGMがBEEP音で作曲したような単調さで、全面クリアーするまでに飽きてしまいがちです。ファミコン版ならではの要素があればちょっと評価が変わったかも知れませんが、アーケード版の再現を目指すあまり、単なる劣化移植となってしまったのが残念です。見せ場らしい見せ場といえば、辛うじて「亜也虎」が登場する場面でしょうか。当時はともかく、近年のゲームと比較すれば非常にシンプルな作りなので、長時間プレイは厳しいものの、何も考えずプレイすればそれなりに楽しめるかと思います。高撃墜率を目指すと結構難しいので、そこそこ熱くはなれます。

ただ、当時としては高クオリティの移植作品が続々と発売された時期でもあるので、それらと比較されるとかなり厳しく感じます。特に同じ縦スクロールシューティングとして、前年には移植度の高さで話題になった『ゼビウス』(ナムコ)が、同年には『スターフォース』(ハドソン/テクモ)が発売されたのが大きく、遊び比べてみると、動きの滑らかさが、操作性や爽快感に繋がる事を痛いほど実感します。今と比べまだ無名だったカプコンのファミコン第一弾である本作は、当時のファミっ子にとっては辛いデビューといえそうです。

本作の十日後に、本作と同じくカプコン&マイクロニクスの組み合わせでファミコン版『エグゼドエグゼス』(諸事情により販売元は徳間書店)が発売されましたが、こちらも酷評があるものの、二人同時プレイや、ハイスコアを狙う楽しさや、見た目が(1942に比べれば)派手な分、こちらのまだ遊べるように感じられます。これはあくまで比べればの話ですが、つくづくその頃のカプコンは外注先に恵まれていなかったように感じられます。

今思ったのですが、本作のサイドファイターは、『大旋風』(タイトー/東亜プラン)のヘルパーの原点なのかも知れませんね。どちらも地味なところも共通していますが(笑)。