カプコンの同名アーケード作品の移植で、ロボットが自機のサイドビューシューティングです。このPCエンジン版は2バージョン存在し、まず最初にHuカード版が発売され、その約5ヵ月遅れでCD版が発売されました。どちらも発売元はNECアベニューですが、開発はカプコンが携わっています。ここでは両バージョンをレビューします。

ゲームシステムは同社の『セクションZ』のようなショットの左右撃ち分けが可能なシューティングゲームで、さらに本作の独自の要素として、複数のショット切り替えができたり、合体アイテムによる自機のパワーアップ(一度の被弾もOK)があります。
また、ステージによって横方向だけでなく縦方向にもスクロールし、ショットの撃ち分けの重要性を考えられた構成になっています。
ショットは任意の切り替え式で、アイテムを取る事によって増え、ミスするとその時装備してたショットを失います。

筆者は随分昔にアーケード版をプレイしたのでどこまで忠実な移植なのかわからないのですが、二人同時プレイの削除やショット切り替え操作の変更、難易度が若干下がった以外は割と忠実な印象です。アーケード版では使い勝手がイマイチだったショットガンがPCエンジン版では敵弾が消せるようになったので、武器の使いようによってはかなり難易度が下がります。しかし、このショット切り替え操作の変更が問題で、一回ポーズボタンを押さないと切り替える事が出来ず、そこでゲームの流れが中断してしまうのが残念です(人によっては遊びやすい変更点かも知れませんが)。

移植にはアーケード版のスタッフ自らが関わっただけあって(Huカード版説明書参照)、グラフィックが多少簡略化されているものの、アーケード版の雰囲気のままで、Huカード版は2Mbitながらもオープニングアニメまできちんと再現され、ステージ削除(全10面)もありません。当時のアーケード移植作品としてはかなりの再現度といえます。
難易度はアーケード版より下がったとは言え、自機の当たり判定は大きく、序盤ステージから追尾ミサイルが飛んできたり、センチピードが出現する為、単体で見ると十分難しく感じます。コンティニュー制限が3回なのもシューティングが苦手な人には厳しいです。

Huカード版のBGMは一部差し替えや新曲が使用され、アーケード版のファンには違和感があるかも知れませんが、それぞれのステージに合ったBGMを採用しているので、アーケード版にそれほど思い入れがなければ問題ないでしょう。CD版はカプコンサウンドスタッフ「アルフライラ」によるアレンジで、アーケード版のファンには好みは分かれるものの曲自体は聴き応えがあります。もっとも筆者はHuカード版を先にプレイしてたので最初は違和感がありましたが。
効果音、特に敵の破壊音はPCエンジンの内蔵音源である事を考慮すれば厚みがあり、撃ち落とす爽快感はなかなかです。

CD版では、スタンダード(アーケード)モードの他に、ショット、ステージ、ボス(ラスボス以外)が完全新規になったオリジナルのビフォークライストモードが搭載されています。ショットは任意セレクト式ではなくアイテムを取る事によって切り替えが可能(同じショットアイテムを取り続ける事でパワーアップ)で、さらにタメ撃ちが可能になり、見た目は同じながらも別物のプレイ感覚です。
ステージ構成も道中が短くなり、ボスの攻略に特化した内容で、ほとんどのボスは攻撃を仕掛ける一瞬に弱点があり、その隙を狙ってタメ撃ちを当てるという西部劇の一騎打ちのような面白さがあります。なかなかよく出来たモードなのですが、ミスするとステージ最初に戻されるのはかなり辛いです。

2つのモードが収録されている分CD版がお勧めですが、Huカード版もHuカード作品としてはかなり上質な出来なので、余裕があれば両方揃えてみるのもいいでしょう。何よりも国内では貴重な移植なので、かつてアーケード版が好きだったPCエンジンユーザーやシューティングファンならば押さえてみる価値はあります。

しかし、両メディアで発表されながらも当時はあまり注目されず、発売当初から値崩れが早かったのが残念でした。