1988年当時、日本テレビで放映された同名ロボットアニメのハドソンによるゲーム化で、Huカード初期のサイドビューアクションゲームです。
 アニメが放映中に発売されたせいか(おそらく開発はアニメ放映開始前後)、一部キャラのカラーリングやデザインが異なったり、物語中盤に登場する主役メカ「龍王丸」やライバルメカ「邪虎丸」、アニメ版の黒幕は登場しません。その為、ラスボスはパッケージイラストに描かれている「ガッタイガー」です。ちなみにアニメ版は、当時流行だったメカのSD表現やRPG要素を盛り込んだ事により、小学生を中心(筆者は当時小5)に人気を博しました。

 ステージはアニメの設定通り全7界層(ステージ)で、自由に前後の界層を行き来出来るのが特徴です。
 各界層は二部構成で、前半のシンボルエリアはワタル(生身の人間)で進んでいき、敵を倒してお金を貯め、ショップで刀やヘンダマ(飛び道具)を購入し、ステージ右端にあるゴールを目指します。後半のバトルエリアは龍神丸(ロボット)に乗り移り界層の最後に待ち受けるボスの撃破を目指します。

 プレイヤーはライフ制で、連続でダメージを受ける事で初めてライフが減少する仕様ですが(一部の敵の攻撃は除く)、その代わり穴な針の山に落ちると即ゲームオーバーになります。その為、敵に対してはダメージ覚悟で攻めても安全だったりする場合がありますが、その反面、ジャンプ移動は慎重にしなければならないという妙なゲームバランスになっています。
 なお、コンティニューは無限ですが、ペナルティとして所持金やヘンダマが半分に減らされます。

 ワタル状態は動きが鈍く、ジャンプがふわついている感じで、操作に慣れていないと浮遊する足場を渡る事さえ難しめです(筆者はこのレビュー記事を書く為に久々にプレイしたら、序盤で三回連続ゲームオーバー…)。
 逆に龍神丸状態では動きがかなりスピーディーで、ワタル状態のフラストレーションもあるせいか操作が非常に快適です。

 当時のアクションゲームとしてはごくありがちな普通の出来なのですが、2Mbitの容量では無理があったのか、エリアごとの仕掛けが乏しく、似たような背景がひたすら続く単調な構成で、プレイしていて飽きやすいのが難点です。また登場する敵バリエーションが少ないのも気になるところです(発売時期の関係?)。  その頃はまだ4MbitのHuカードは開発されていなく、2Mbitでも当時としては大容量だったので仕方ない部分もありますが、同時期のソフトを見ると他にもやりようがあったように思います。
 そのせいか、今改めてプレイしても微妙すぎる内容で、ノスタルジー以上のものは感じませんでした。アイテム購入やライフ回復するのに必要な所持金稼ぎも面倒なだけでテンポが悪くなりがちです。また、ラスボス戦はシビアすぎる的確な操作を要し、ハメ技を使わないと倒すのはかなり困難なほど、正当な攻略ではかなりの難易度となっています(ハメ技は本来はバグなのですが、デバッカーがどうしてもラスボスが倒せなかったので敢えてバグを残したとの事)。

 キャラゲーとして見てみると、同社が以前ファミコンで発売した『ドラえもん((ミ゜o゜ミ))』『忍者ハットリくん』は原作の設定を活かしつつゲーム性の高い作りで好評を博しましたが(但し『Bugってハニー』は筆者的にはイマイチでしたが)、本作はキャラクターだけを借りただけの安易な作りなのがとても残念です。せめてアニメ版と同じBGMが使われていたら原作ファン(=筆者)なら多少は盛り上がってプレイできたはずです。
 しかも、中期以降のPCエンジンソフトで見られたビジュアルシーンによる演出もこの頃はまだ確立してなかったので、ビジュアルシーンは龍神丸登場シーンしかなく、PCエンジンらしさはキャラクターの大きさと色数の多さ以外は実感しません。それにしても、シバラク先生やヒミコのグラフィックがファミコン並にしょぼいのはどうにかならなかったのだろうか…

 アニメ版の次回予告のキメ台詞である、「はっきしいって面白カッコイイぜ!(田中真弓の声で)」と呼べる作りじゃなかったのが痛かったのですが、後年ハドソンがファミコンで発売したアクションRPGの『魔神英雄伝ワタル外伝』でリベンジを果たしたので、ファンとしてはヨシとしましょう。ウエストンが開発しただけあってアクションパートがかなりモンスターランドっぽいですが。