ハドソンが手掛けたPCエンジンHuカード作品で、各地に散らばった8つのメダリオンを集め、ラスボスのラファエルを倒し、さらわれた姫を助けるのが目的のトップビューアクションRPGです。PCエンジン初期にあたる1989年に発売されました(参考までに、同年にはCDロムロム用ソフト『イースI・II』が発売)

 ゲームの目的やシステム、操作感、一画面ごとのスクロール、裏面の存在等、ファミコンディスクシステムの名作『ゼルダの伝説』にかなり近い作りとなっていますが(というかまんま)、本作には「魔法の杖」を手に入れる事によってプレイヤーのライフに応じて威力や動きの変わる炎の魔法が使えます。離れた敵に対して安全に攻撃する事ができるので、アクションの難易度自体は『ゼルダの伝説』より低めの印象です。

 ステージは地上・地下・海・空の四つの世界に分かれていて、それぞれの世界に二つのダンジョンが待ち受けます。基本的にダンジョンの攻略順は固定で、その世界のダンジョンをクリアーしないと次の世界に進む事が出来ないので自由度は低めですが、逆に自由度を狭める事によってプレイヤーを誘導させるのに一役買っています。

 フィールドやダンジョンには様々な仕掛けが仕組まれていて、魔法で木を燃したり、画面上の敵を全て倒したり、特定のブロックを動かしたり、何も無い壁に爆弾を置く事で出現する隠し部屋を探して、アイテムや情報を手に入れるのが攻略の鍵となっています。隠し部屋のヒントは皆無に等しいのですが、幸い1画面ごとのスクロールなので、マッピングしながら画面ごとにチェックすれば自力で攻略する事はさほど困難ではないでしょう。その辺のバランスは流石だと思います。

 筆者が本作に興味を示したのは、当時放映されていたTVCMを観てでした(当時小学6年生)。ゼルダタイプのゲームが遊びたかった事と、美しいグラフィックに惹かれました。特にグラフィックは、ファミコンメインで遊んでた筆者には圧倒的なインパクトがありました。しかし、小学生だった筆者には定価24800 円もするPCエンジン本体は高嶺の花で、憧れながらもリアルタイムでプレイする事は叶いませんでした。翌年、クラスメイトにPCエンジンユーザーがいたので、何とかその友人にソフトを買わせてプレイしました。(よく考えたらかなり迷惑な話ですな)当時はまだゲームが上手くなく、『ゼルダの伝説』を投げ出した筆者でしたが、本作の適度なバランスのおかげで最後までプレイする事ができました。反面、『ゼルダの伝説』を極めた人にはヌル過ぎる難易度に感じるでしょう。現在のやたらと長いゲームと比較すればボリューム的に物足りない気もしますが、今となっては社会人が手軽に楽しむにはこれで十分かも知れません。個人的にはBGMが気に入っていて(特に地上の世界)、BGMを聴く為に今でもたまに起動するほどです。細かい事ですが、24文字の短いパスワード(バックアップユニットでセーブ可)と大きめの文字フォントも良心的です。

 当時から現在に至るまで、世間的に「ゼルダのパクリ」という批判をよく聞きますが、広すぎず狭すぎずちょうどよいマップサイズ、一本道化による敷居の低さ、飛び道具である魔法の存在で、『ゼルダの伝説』の初心者版としても十分楽しめます。勿論、ゼルダとは関係なしに、単体として見ても十分な出来です。現在ではWiiバーチャルコンソールや中古ソフトで安価で入手ができるので、その手軽なボリュームを考慮しても値段分は楽しめるかと思います。

 余談ですが、双葉社から発売された攻略本には企画書が掲載されているのですが、当初は仕様(特にフリースクロール)が異なっていたゲームシステムが、遊び易さを追及している内にゼルダに近付いたようです。改めてゼルダの完成度の高さを実感します。

 そういえばエンターブレインの『ティアリングサーガ』(PS)が『ファイアーエムブレム』にソックリと任天堂が訴えた事件が過去にあったのですが、本作は大丈夫だったのでしょうか?メダリオンの設定なんかトライフォースに似ているし…。でも、バーチャルコンソールで配信されている以上、任天堂公認のハ゜クリゲーなのかも知れません(笑)