セガのソニック以前のマスコットキャラクター「アレックスキッド」主演のセガ
マスターシステム用ソフトで、海外向けとして発売されたアレックスキッドシリ
ーズ最終作として1990年に発売されました(翌年にはあの『ソニック.ザ.ヘッジ
ホッグ』が発売される)。
国内未発売ですが(その為、国内のアレックスキッドシリーズはメガドライブの
『アレックスキッド 天空魔城』が最終作)、開発は日本のセガのスタッフが担当
しています。

悪の忍者「ハンゾウ」にさらわれた恋人を、正義の忍者の力を借りたアレックス
キッドが救出に向かうアクションゲームで、同社を代表するアクションゲーム『
忍』のパロディ作品となっていています。

ゲーム内容は歴代シリーズ同様比較的オーソドックスなサイドビューのジャンプ
アクションで、初期装備でありパワーアップ可能な「刀」や、ステージ途中でア
イテムとして入手できる飛び道具の「クナイ」を駆使し、全4ラウンド(各ラウン
ドは3部構成)を攻略していきます。特殊アクションとして
、『忍者くん阿修羅の章』の様な「三角跳び」が使えたり、バーやロープにつか
まってその場で回転し、勢いをつけてから離す事によって直進方向へ飛ぶ事がで
きます(攻撃判定あり)。プレイ感覚はそれまでの『アレックスキッド』シリーズ(
ミラクルワールド、ロストスターズ、天空魔城)や『忍』シリーズとは大
幅に異なり、以前のシリーズにあった買い物要素や、ジャンケン勝負はありませ
ん。『忍』シリーズではお馴染みの忍術は、忍術アイテムを取ったその場で効果
が発生する仕様です。
なお、自機はライフ制で、コンティニューは1度だけ可能です。

マップ構成は割とシンプル、かつ程よい広さで、途中でダレる事はありません(
同時期の家庭用アクションゲームは、プレイ時間を水増しする為に迷宮のように
探索が必要なマップを採用することも珍しくなかった)。また、道中には隠しルー
トや隠し部屋があり、そこにはたくさんのアイテムがあるので、それら
を探すのが攻略の鍵です。いかにも当時の家庭用アクションゲームらしいフィー
チャーですが、今となっては隠しルートを探すのが純粋に楽しいです。
変わった楽しみ方として、『忍』ファンにはパロディの元ネタを見付けるのも面
白いかも知れません。個人的には、ステージクリアするとボスの手配書に「済」
のハンコが押されたり、ミスした時やステージクリア時のBGMが『忍』のソレのア
レンジだったのがツボです。

流石に日本で作られただけあって、ゲームバランスや操作性は癖がなく快適で非
常に遊び易いです。特に操作性は『ミラクルワールド』みたいに捻くれていない(
「右ボタンパンチ」「左ボタンジャンプ」)のでご安心を(笑)。
欠点と言えば、ステージ数が少なく物足りなく感じるところでしょうか。逆に言
えばテンポよく気軽にサクっと遊べるボリュームとも言えます。
この頃の日本のマスターシステム市場はすでに存在していなく、発売には至りま
せんでした。当時のメガドライブソフトはライト感覚なゲームが少なかったので
、仕方ないとはいえ国内未発売がとても勿体なく感じます。

筆者がこのゲームに興味を示したのが、『メガドライブFAN』(徳間書店刊)の海
外ゲーム特集でした。当時の筆者は中学生だったので、その頃の記憶は曖昧です
が、印象としては「海外ではまだマスターシステム市場が存在していたのか」「
セガはまだアレックスキッドに執着しているのか」「ハード成熟時
に発売しているだけあって出来がよくて面白そう」でした。時が経つにつれて後
者の気持が強くなり、いつかプレイしたいソフトにまで格上げされました。結局
入手まで17年近く掛かりましたが(当時はまだネット社会ではなかった)、その出
来に満足しています。普通のアクションゲームと言ってしまえばそれまでですが
、複雑
化したアクションゲームが多い現在においては、それが逆に心地の良いです。