本作はコナミの代表作であり、現在では恋愛シミュレーションゲームを代表する作品でもあります。本作のヒット以来、ラジオドラマが放送されたり、キャラクターグッズや派生作品が発売されるなど、(ツインビーの例はあったものの)今までのコナミにはなかった大規模なメディア展開が行われたのも特徴の一つです。本作はコナミのPCエンジン最後のソフトとして1994年に発売されました。

ゲーム内容は、プレイヤーは三年間の高校生活を送り、勉学や部活動をする事でそれらに対応したパラメータを上げ、お気に入りの女の子(一応、プレイヤーの憧れである幼馴染みのヒロインはいますが)の求める理想に近付き、卒業式に告白を受けるのが目的です。
パラメーターはプレイヤーの能力値だけでなく、女の子達の好感度にも存在し、デートを誘ったり、イベントの結果によって上げる事ができます。但し、お目当て以外の女の子にも好感度を上げないと、周囲の人間に冷たい人間と噂され、結果的に全員の女の子から悪評を受けます。貴重なスケジュールは、お目当て以外の女の子にも割り当てなければならないという、そのバランス感覚が絶妙となっています。

今の目で見たらスタンダート過ぎますが、豊富なイベント数、イベント時のフルボイスは、恋愛シミュレーションが珍しかった当時ではとても新鮮でした。また、ある条件で遊べる各種ミニゲームも、おまけとは思えないほど作り込まれていて、CDロムメディアならではの大容量の恩恵を感じさせます。
インターフェイスはPCゲームを研究してあるだけあって、マウスにも対応した操作性、見やすいアイコン表記は、説明書を軽く読むだけでも理解できるほど遊びやすくなっています。
各キャラクターを演じる声優陣は、その当時ではゲーム業界やアニメ業界では知られていない面々が担当してましたが、それが逆に他作品のイメージがついていなく、キャラクターのイメージをより引き立てています。また、それぞれのキャラクター別に専用BGMが用意されるほどのこだわりようです。
学園生活を彩るイベント部分も、複数のイベントの組み合わせで、プレイするたびに違った三年間を送れる自由度の高さが魅力です。高校卒業した今、改めてやると、つい懐かしがってしまいます。
ゲーム中、特殊イベントが起きる前はやや長めの読み込みがありますが、何が起こるか分からないので、その間はドキドキものです。

登場する女の子はどれも原色がきつく、ステレオタイプですが、その分キャラクター性がはっきりしているので、初心者でも目的を持ったプレイスタイルで遊べるのがいいところです。それに、各キャラクターにストーリー性を高めなかったおかげで、プレイヤーなりの想像力で楽しめたのがヒットの要因でしょう。派生作品が出しやすかった背景も、それが理由だと思います。

一部では自分から告白出来ない事を批判する声がありますが(セガサターン版は告白可能)、好きな女の子に気に入ってもらう為にプレイヤーが遠回しでアプローチする部分が、自ら告白出来ないマグロ男っぽくて、ある意味リアルです(笑)。

筆者が初めて本作を知ったのは『月刊PCエンジン別冊CD-ROMカプセル4』同梱のPCエンジンハイパーカタログに収録されたオートデモ。当時、筆者は硬派(?)なメガドライバーであり、PCエンジンで乱発しつつあったギャルゲーに(出来はともかく)ウンザリしてたので眼中になかったのですが、そのCDロムを持っていた友人が「これは後に高い評価を受ける!」と絶賛してたので、そこそこチェックをしてました。
発売されてからも、パソコン通信等の口コミで本作の面白さが広がり、PCエンジン周辺機器である天の声バンクやマウスが品薄になったり、秋葉原では定価を超えるプレミア価格で発売されるなど、PCエンジン界では(恐らく)最後のブームメントが起こりました。それを見て友人の先見の明があった事に感心したのが記憶にあります。

個人的には、エンディングテーマ『二人の時』は今でも名曲の一つとして印象に残っています。一時期はそれを聴く為に、何度もエンディングを観ました。それだけお気に入りです。
高校時代リアルタイムでプレイできたのも、ある意味幸運でした。