ディズニーの同名アニメ映画を原作とするゲーム化で、国内では1994年に発売されたゲームギア版の移植です。発売時期は、海外でもキャラゲーとして旬を過ぎた1994年に発売されました(アメリカでは1992年公開だった)。

本作はサイドビューのアクションゲームで、追手から逃げる強制スクロール面、トラップを解除しつつ進めていく探索面、魔法の絨毯面、ジャーファー(ラスボス)との一騎打ち等、各ステージによってゲーム内容や操作方法が異なる、変化に富んだ構成が特徴です。
先行して発売されたメガドライブ(GENESIS)版は、一応原作のエピソードをベースにしつつアラジンが常に装備している剣で敵を倒していく等、原作にはないオリジナル設定がありましたが、マスターシステム(ゲームギア)版ではストーリー展開や設定は原作にほぼ忠実です(もっとも筆者はリアルタイムでしか劇場版を観てないので記憶が曖昧ですが)

流石にディズニーの審査を通過しているだけあって、中間色を多様したグラフィックは美しく、アニメパターンやダッシュやスライディングなどのアクションも豊富です。背景も一部ステージでラスタースクロールや多重スクロールが使われているので奥行きがあります。ここら辺はハード末期に見られた技術力の高さを伺えます。
また、宮殿面ではアラジンが正装するといった、メガドライブ版にはなかった要素があります。

ステージ間では、ゲーム中のスプライトキャラの演技によるデモ画面があるので、バストアップのキャラ絵とテキストのみで展開されたメガドライブ版よりも話の繋がりが分かり易くなっています。エンディングは簡素だったメガドライブ版と比べると、こちらは演出が凝っていて劇場版に忠実なところが嬉しいです(当然海外マスターシステム版は英語テキストですが)。
BGMは映画で使われた劇中の曲を使われているので、映画を知っている人ならより一層楽しめるでしょう。個人的には名主題歌「A Whole New World」をバックに、ジャスミン(本作のヒロイン)と一緒に絨毯に乗るステージが、わざわざ敵や障害物を配置する必要性を感じないものの、お気に入りの場面です。

一部タイミングのシビアな部分がありますが、元々手軽に遊べる携帯ハード向けに作られただけあって、セガハードの他のディズニーゲームと比較しても全体的に難易度はやや低めです。アクションゲームには重要な操作性も良好です。
一つ一つのステージが異なった作りなので最後までプレイヤーを飽きさせなる事なく、全体のボリュームがちょうどよい長さなので、プレイしていてストレスは感じません。さらにコンティニュー無制限、かつパスワードコンティニューも可能なので、時間を掛けてプレイすればなんとかなるバランスでしょう。パズル要素のあるトラップもそれほど難解ではなく、ゲームのテンポを崩れるほどでもありません。

見た目のインパクトだけなら超滑らかな動きを見せるメガドライブ版が上ですが、オープニングからエンディングで劇場版のストーリーに沿った展開のマスターシステム版も魅力的です。ゲーム性も、割と普通のアクションだったメガドライブ版よりも凝った作りなのが好感持てます。

筆者的には、難易度的な物足りなさを感じるものの、劇場版を思い出しながら楽しくプレイする事ができました。それまでのセガによるディズニー作品の難易度が高かった事を考えると、本作は万人向けと言えます。