1989年に行われた第5回ハドソン全国キャラバン公式ソフトで、当時劇場公開していた東宝の同名SF映画のタイアップとして製作された縦スクロールシューティングです。
販売元こそはハドソンですが、開発には『ザナック』『アレスタ』で知られるコンパイルが関わっており、同社のシューティングらしい高速スクロールによるスピード感、派手なパワーアップと破壊しまくりの爽快感が備わった内容に仕上がっています。当時、シューティングゲームはまだ人気のジャンルであり、本作もまたユーザーの間で高く評価され、以降に発売されたキャラバン系シューティング(『スーパースターソルジャー』『ファイナルソルジャー』『ソルジャーブレード』など)を一部で「ガンヘッドタイプ」と呼ばれることからも、本作が以降のPCエンジンシューティングに強く影響を与えたのは言うまでもありません。なお、1992年に発売されたスーパーファミコンの『スーパーアレスタ』(東宝)は本作のリメイク的な内容となっています(今思えば、『ガンヘッド』と『スーパーアレスタ』は東宝&コンパイル繋がりですね)。
 
プレイヤーは、メインショットとサブウェポン、そしてストック制のボンバーを装備した自機を操り、全9面(ステージ表記はAREA)を攻略していきます。メインショット、及びサブウェポンはそれぞれ4種類あり、ステージ中に出現するウェポンアイテムを取ることによって装備しているウェポンを切り替えることができ、同じアイテムを取り続けることにパワーアップすることができます。また、自機はセレクトボタンを押す事によって任意で移動スピードを調整することができます。セレクトボタンまで使う操作性なので、今からプレイする場合はNECアベニューから発売されたアベニューパッド3でプレイすることをお勧めします(但し、本作発売時にはアベニューパッド3は未発売)。
 
コンパイルのPCエンジン作品としては『エイリアンクラッシュ』(販売元ナグザット)と並び、初期のPCエンジンソフトでしたが、グラフィック面、サウンド面は当時のPCエンジン作品としてはかなりハイレベルな仕上がりでした。それまでのファミコンでは不可能だったメタリックなグラフィックの質感、大量に敵キャラやアイテムを出現させても処理落ちやスプライト欠けの起きない高速な画面処理、サンプリングをドラム音に用いた重厚なBGMなど、ゲームとしての面白さだけでなく、技術的な面でも完成度が高く、初期のPCエンジンソフトを代表することだけはあります。特にサウンドに関しては、説明書に音量を上げることを勧めているほどで、改めてメーカーのサウンドに対する自信を伺い知ることができます。
 
難易度としては、終盤が厳しい以外はシューティングが苦手な人でも手軽に爽快感が味わえ、上級者なら裏技の「GOD」(もっとも難易度が高いモード)で遊べばかなり熱い弾避けを味わうことができるなど、幅広い層に向けて調整されているのには好感が持てます。この辺もユーザーに支持されている所以かと思います。今となっては自機の当たり判定が大きいような気もしますが、当時のシューティングゲームはそんなものだったので、こればかりは仕方がありません。
シューティングとしては非の打ちどころがないのですが、それでも唯一気になったのが、コンパイルシューではお馴染みの「道中の長さ」。これに尽きます。大抵のステージは2部構成となっていますが(途中で中ボスみたいのが出現する)、あまりにも道中が長く、途中でダレてしまい、しかも全9面もあるので、正直これの半分ぐらいの長さで丁度良いボリュームのように感じます。この道中の長さは、コンパイルシュー最終作『ザナック×ザナック』(PS用ソフト。2001年発売)まで変わらなかったので、伝統といえば仕方ないのかも知れませんが、他社製シューティングの後にプレイするとやはり辛いところです。
 
筆者はこのゲームをプレイするのが結構遅く、ソフトの発売から2年経っての1991年のことでした(当時筆者は中学2年生)。友達からコアグラフィックスを安く譲ってもらったのですが、肝心のソフトを買う予算が少ししか残っていなく、たまたま中古で安く売られていたこの『ガンヘッド』と『ダライアスプラス』『凄ノ王伝説』をセットで購入しました。ただ安いという理由だけでなく、どちらもユーザーによる評価が高かったのも理由の一つでした。初プレイの感想は、2年前のゲームであるにも関わらず、当時の最新ハードであったスーパーファミコンのソフトに見劣らないビジュアルやサウンドに感心した記憶があります。勿論、見た目だけでなく、説明書を読まなくても手軽に爽快感が味わえるゲーム性が気に入り、これだけをひたすらプレイしました(もっとも手持ちのソフトが他にもなかったのもありますが)。今となっては道中が長いので、気合いをいれないとプレイする気にはならないのですが、今でもAREA7で流れるクライマックス的な雰囲気のBGMが気に入っています。裏技とはいえ、サウンドテストが搭載されているのは嬉しい限りです。
ただ、これがきっかけにPCエンジン派になることはなく、この後メガドライブを購入することになり、筆者がPCエンジンに本格的に手を出すのはさらに数年後のことでした(中学生にはCDロムマシンがあまりにも高額すぎた)。
 
余談ですが、大会用に作られた特別バージョンとして『ガンヘッドSpecial Version』が存在しますが、これには本編の3面をベースに2分モードと5分モードが搭載されています。あくまで商品として作られていないので、レザルト画面になったらリセット以外にタイトル画面に戻る方法がなく、しかもその時に獲得したスコアは消去される(そもそもこのバージョンではハイスコア表示が存在しない)仕様で、天の声2等によるバックアップ機能は非搭載です。なお、このバージョンは一般ユーザーにもプレゼントされ、大会入賞者だけでなく、本体購入キャンペーンや、同時期に発売された『ブロディア』の販促キャンペーンの一環として懸賞が行われました。PCエンジンの非売品ソフトとしてはかなり多めな2万枚(公称)が生産され、21世紀に入った今でも比較的容易に手にすることができます。というか、HD時代以降のシューティングは一万売れるかどうかのレベルですが(参考までにドリームキャスト版『斑鳩』は3万本)、非売品ソフトでありながらニ万枚も生産できたなんて、当時はかなりシューティングバブルだったことを実感します(笑)。
 
それはそうと、この記事を書いている時点で原作となる(?)劇場版を観たことがないのですが、観る価値はあるのでしょうか?