本作は1987年にアーケードで稼働された東亜プランの同名シューティングの移植で、アーケード版の販売元であるタイトーより1989年に発売されました。プレイヤーはストック制ボンバーを搭載した戦闘ヘリを操り、4種類のメインショットを切り替えながら全10ステージ(ループ制)を進んでいく縦スクロールシューティングゲームです。
当時はゲームセンターでシューティングゲームが盛り上がっていた時期で、『グラディウス』や『R-TYPE』など独自のシステムやパワーアップを採用したシューティングが次々と発売されましたが、本作はそれらタイトルと逆行するようにごくオーソドックスな内容で、「撃つ・避ける」に特化したシンプルな作りが評価を博し、ゲーマーのみならず営業系サラリーマン(?)にもヒットし、多くの家庭用機種に移植されるほどの高い人気を誇りました。後に『雷電』など、多くのフォロワーが発売され、縦スクロールシューティングのスタンダートともいえる作品です。
 
家庭用として初の移植版となるこのPCエンジン版は、PCエンジンソフトとしては初期作品にあたるものの、アーケード版ファンのみならず、アーケード版に馴染みの無いユーザーにも高い評価されました。
元のアーケード版は縦画面でしたが、横画面であるPCエンジン版は、移植に際し、キャラクターの大きさはそのままに、敵弾の低速化や敵の配置を調整することによって画面の狭さを感じさせない作りとなっています。その為、難易度はアーケード版よりもかなり控え目となっていますが、シューティングに興味ありながらもなかなか手を出せないようなプレイヤーには遊び易い難易度になっています。アーケード版の練習用として買うには物足りないですが、段々とマニアック化していくシューティングゲームにおいて、本作のように万人にも遊べる作りはそれだけでも価値があるので、むしろアーケード版ファンよりも、シューティングビギナーにうけた作品かも知れません。
また、ゲーム部分のみならず、当時はまだファミコン最盛期ということもあり、ファミコンでは表現できないグラフィックの描き込み具合や、アーケード版と遜色ないサウンド(正確にはPCエンジン音源向けにアレンジされているが原曲を尊重したアレンジ)に、ユーザーにPCエンジンを持っていてよかったと思わせるほどの高いクオリティを誇りました。
PCエンジン初期ということもあり、当時は2メガビットのHuカードが最大容量でしたが(本作の3ヶ月前に発売された『スペースハリアー』は初の4メガビットですが、本作の開発中にはまだ4メガビットHuカードは存在しなかった)、決して大容量でないながらも、ここまでアーケード版の内容を収めたところも評価できます。同時期にナムコから発売された『ドラゴンスピリット』は同じ容量を使用しながらもステージやデモがカットされたことを考えると、たった2メガで当時のアーケードシューティングを移植するには無理があったはずです(余談ですが、ファミコン版『究極タイガー』2メガビットでした)。
 
なお、PCエンジン版の後発に発売されたメガドライブ版(トレコ販売)は、アーケード版の縦画面のバランスのまま横画面に移植したため、狭い画面で速い弾を避ける必要があり、アーケード版よりも難易度の高い無茶なバランスになっています。先行して発売されたPCエンジン版の出来がよかっただけに残念に思うファンが多くいました。しかも、PCエンジン版の倍(4メガビット)の容量を使っていてこの出来は正直悲しかったです。逆に言えば、どれだけPCエンジン版の出来がよかったか、このメガドライブ版によって改めて認識する羽目になりましたが…。
 
筆者がこのゲームを知ったのが、当時テレビ東京で放映していたゲーム番組『大竹まことのPCランド』でした。大きなキャラクターや美しいグラフィックは、今まで遊んでいたファミコンでは不可能なクオリティで、少なくともゲームセンターに馴染みの無い小学6年生であった筆者にとっては十分アーケードレベルのゲームに見えました。当時はファミコンしか持っていなかったので買うことが出来なかったのですが(そもそもPCエンジン本体が24800円と高額で小中学生にとっては高嶺の花過ぎた)、PCエンジンユーザーだった友人に営業トークで勧めて(笑)買わせました。Huカード時代の初期PCエンジンを代表する定番タイトルということもあり、中古相場が高かったのですが(30003500円)、今思えばそんな高いゲームを買わせてしまった自分も酷いな、と思いました。せめて友人が「クソゲー」と言わなかったのが救いですが…(笑)。
今となってはこれより移植度の高いプレイステーション版が発売されましたが、誰でも手軽にオーソドックスなシューティングが楽しめる点ではこちらのPCエンジン版の方が気に入っています。現在、2Dシューティングゲームは一般的にはマニアックなジャンルと認識されていますが、「撃つ・避ける・ピンチになったらボンバー」というシンプルなゲーム性は下手な王道ジャンルよりも万人向けだと思います。PCエンジンで発売された、いわゆる「東亜タイプのシューティング」は他にも『雷電(SUPER雷電)』『TATSUJIN』等が発売されましたが、その中でも本作は定番タイトルとして残しておきたい逸品だと思います。
 
ところでこの『究極タイガー』の「究極」、当時『美味しんぼ』によって流行語となりましたが、小学生の私にとって「究極の虎って何だろう?」と不思議がっていました。あまりにもの無茶苦茶なタイトルで印象に残っていたゲームなのですが、後に同社が発売した『TATSUJIN』『ドギューン!』『BATSUGUN』、そしてケイブの『首領蜂』『怒首領蜂』など、東亜プランやその系譜のシューティングをやり続けているので、今思えば東亜シューティングの付き合いはここから始まっていたのかも知れません。