誰だったか忘れましたが、あるクリエイターが「今のゲームは新しさがない」とし、「新規市場開拓」「アイディア」「斬新なゲーム性」みたいな発言をしているのを見かけますが、昔ながらの日本人ゲーマーが求めているのは下手に作家性のあるゲームよりも、既存のタイプのスペックアップ版だと思うんですよね。
プレイステーション3で発売された『テイルズオブエクシリア』の初週売り上げ50万オーバーはそれを表しています。
 
家庭用あがりのゲーマーがソーシャルゲーを批判する理由の一つとして「お手軽すぎてゲーム性が薄い」というのがありますが、そういったゲームの固定概念を持っている人も多くいるので、テイルズオブシリーズのような従来のタイプのゲームのスペックアップ版は新しさこそはないけれど安心して買える安定感があります。
 
クリエイターが「技術力では海外に負けている」と思うのは結構ですが、方向性まで洋ゲーでは所詮猿マネであって日本国内では売れないですし、海外では相手にもしてくれません。技術のみ追いかけていて、ユーザーが何を求めているのか全く理解していないように感じます。
 
今回の『テイルズオブエクシリア』の売り上げを見ると、多くのユーザーがやりたいのはごく普通のゲームなんだな、と思います。
ある意味、日本のユーザーにとって一番「必要ではない」のは「技術力」のように感じます。事実、洋ゲーの超絶グラフィックのゲームが日本国内でミリオンを突破したゲームなんていう話、全く聞かないですしね。
 
 
 
 
その作家性のあるゲームですが、それの代表作であり、つい最近HDリマスター版として発売された『ICO』『ワンダの巨象』は一般性がないように感じます。どのタイトルも賞を獲得するほど芸術性が高い作品で、実際にプレイした人の評価も高いのですが、世界全体で見てもミリオンにいくかどうかの売り上げで、評価のわりに売れていないのが現状です。
 
プラチナゲームスの三上氏(元カプコン社員)は「もしICOが世界で500万売れていればクリエイターが作りたいものを作れたかも」といった発言をしていましたが、作家性という部分が優れているのは認めるのですが、ゲームとして売る以上、内容に理解していないと商品としては魅力に感じないんですよね。
私なんて当初は全く興味がなく、口コミの評判を聞いて買ったクチですが、実際にやってみてどーしても肌に合わず、すぐにプレイをやめてしまいました。
クリエイターが何かしらのメッセージをゲームを通して伝えたいのでしょうが、私のような古いタイプのゲーマーからすれば展開に派手さがなく、プレイしていて退屈なんですよね。グラフィックや演出の凄さは認めるのですが、テキストや音声に頼らずに演出のみで物語が展開されるところが特に駄目でした。
同じく作家性の強い飯野作品(『Dの食卓』『エネミーゼロ』『風のリグレット』など)や飯田作品(『巨人のドシン』『太陽のしっぽ』『アクアノートの休日』など)もそうでした。
 
三上氏の発言は、ICOのような作家性の高いゲームが売れればクリエイター色の強いゲームが出しやすいといった意見なんでしょうけれど、クリエイターは作家である以上に、ユーザーがソフトを購入したお金で飯を食べている立場なので、自分の好きなようにゲームを作る程度では所詮自己満足でしかありません。
商品である以上、ある程度の売り上げが見込める必要があり、その上で制作する必要があるので、ユーザーのことを考えずに作りたいものを作るなら同人ソフトを作ればいいだけの話です。
なので、『ICO』の売り上げは妥当だと思います。
 
むしろ、そんな一般性のない作家性の高いゲームに長い開発期間を与えてくれたSCEは本当に凄いと思います(笑)
 
 
さて、ICOスタッフによる期待の新作トリコですが(ジャンプ漫画じゃないよw)、一体いつになったら続報が入るんですかね?上田さん?(爆)