カテゴリ: メガドライブレビュー

イメージ 1
イメージ 2
1993年、ビクターエンタテイメントより発売されたメガCDソフト『慶応遊撃隊』の体験版。ジャンルは横スクロールシューティングで、この体験版では序盤のステージのみ実際にプレイすることができます。
なおこの体験版は販売店向けに作られた非売品で、一般には流通しませんでした(専門誌の読者プレゼントで配られたかも知れませんが)
 
イメージ 3
販売店向けに作られただけあって、説明書にはPOPが4つ付属しています。
が、それを利用しているゲームショップは少なくとも地元では見られなかったので、実際にこの体験版が使用された店は少なかったと思われます。
 
それもそのはず、商品版の発売日は1993年8月6日。その一週間前はメガCDユーザーの超話題作『シルフィード』(ゲームアーツ)が発売されたので(7月30日発売。ちょうど私の16歳の誕生日w)、よほどモノ好きな店でない限り『シルフィード』をプッシュするのが当然の流れで、『シルフィード』の店頭デモを流した店はあっても『慶応遊撃隊』の店頭デモを流した店はかなりレアだと思います(慶応遊撃隊はそれでもマシな方で、一番悲惨だったのは、シルフィードと同じ発売日だったヒューマンのバリアーム…)。
 
それでもビクター側はこのソフトを推していたのか、体験版だけでなく、ポスターやパンフ、プロモーションビデオが作成され、販売店がビクターのマーケティング部に連絡をするとそれら販促グッズが送られたようです。
ビクターはメガドライブ互換機「ワンダーメガ」を発売したこともあり、自社メガドライブソフトの広報活動には力を入れており、本作以外も『サンダーホーク』といったメガCD用体験版をいくつか作られましたが、本作のように販促グッズを多く作られた例はほとんど聞きません。
当時は店頭デモを流している店を見ませんでしたが(私の地元が田舎というのもあるが)、もしかしたらゲームショップではなくワンダーメガを取り扱っていた電器屋がこの体験版を店頭デモとして使っていた可能性も考えられますが、今となっては確認する術がありません。
 
パッケージに記載されている通り、ヒロインの声は女性タレント菅野美穂さんが担当しています。
彼女は本作が声優初挑戦ということもあり、棒読みではっきりいって下手ですが、その数年後にセガサターンで発売された『リアルサウンド 風のリグレット』(ワープ)ではかなり上達しているので(比較にならないぐらいに)、彼女のファンの方は『慶応遊撃隊』のことを忘れてやって下さい(笑)

早朝から吐き気、下痢が酷く、いよいよもって体調を崩してしまったので、観念して本日病院へ。
正直、一日中寝ていたい気分ですが、なかなか休みが取れないのが辛いところです…
 
 
さて、今日は更新する心の余裕が無いので(?)、誰得な手抜き記事を更新します(笑)
 
 
今回紹介するのは、1991年にバンダイナムコゲームズより発売されたメガドライブソフト『メガトラックス』と、その北米版『Quad Challenge』
イメージ 1
1989年に同社から発売されたアーケードゲーム『フォートラックス』のアレンジ移植で、四輪バギーを題材にしたレースゲームです。
…こんなマイナーすぎるゲームの日本版だけでなく、北米版まで揃えるなんて、我ながらアホだと思うのだが(笑)
 
アーケード版は多数の筺体を繋げた最大8人までの通信対戦が売りでしたが、このメガドライブ版は上下二分割画面で二人対戦を実現しています。
 
このメガドライブ版独自のモードは一人用の「USAチャンピオンシップ」。16戦を勝ち抜くのが目的で、パスワードによる中断ができます。
それ以外のモードとなると…対戦モード以外は何もありません!(笑)
ここらへんは4メガビットカートリッジの限界かも知れませんね。
 
 
気になる出来ですが、私はアーケード版をプレイしたのが一度しかないので(ナムコワンダーエッグでプレイ)メガドラ版単体で感想を書くと「とにかく地味」につきます。
 
一人用でも二人用でも常に画面が上下二分割の為、キャラが小さく、売りのジャンプもあまり飛ばず、本来の四輪バギーの迫力が伝わりません。あと、四輪バギーの為スピード感がイマイチなのと、ハンドリングに癖があるのもオフロードレースならではのことでしょうか。
 
題材が題材なので仕方ない部分もありますが、「じゃ何で題材的に地味なゲームが移植に選ばれたの?」と言いたくなってきます。それに当時はF1ブーム最盛期だったので、余計そう思ってしまいます。
 
当時、出せばある程度売り上げが見込めるフォーミュラカーを題材にしたゲームを出さず、敢えて四輪バギーを題材としたゲームを発売したことが今でも理解できません。元のアーケード版なんて、最新作ならともかく、当時ですら2年前のゲームなのに…。
しかも、ナムコには(すでにPCエンジン版が発売されたとはいえ)『ファイナルラップ』というコンテンツがあるというのに、こちらもそれに対抗できるF1ゲームが欲しかったのが正直なところです。とはいっても、同じF1ゲームでも
『F1道中記』(ナムコのオリジナルMSXタイトル)はいらないですが(笑)
 
明らかにユーザーの誰も望んでいない、むしろ嫌がらせのような移植タイトルの選別ですが、今となっては最新機種では移植が望めないレア移植なので、ある意味貴重だと言えます。
そういえるのは、あれから20年以上経っているというのもありますが、それなりの理由がないとこのゲームの存在価値を認めるのが困難というのもあります(爆)
 
 
それはそうと、今回の記事の為にまんだらけで『メガトラックス』を買ってしまいました。多分3本目(笑)
でも、210円だったからヨシとしましょう。誰か欲しい人いる?
イメージ 2

かつてアーケードシューティングの雄であった東亜プランより1990年に発売された縦スクロールシューティングゲームで、当時家庭用中心に下請けで活躍していたコンパイルが開発を担当しています。
 
タイトルの通りコンパイルを代表する『アレスタ』シリーズの一作で、前作でお馴染みだったパワーアップチップによるショットのパワーアップシステムと3種類の特殊兵器に加え、本作独自のオプションフォーメーションシステムが特徴です。
 
初代『アレスタ』(マスターシステム&MSX2版)には各種特殊兵器に使用制限がありましたが、本作は自機が被弾するまでは無制限に使え、なおかつ特殊兵器を装備している状態で被弾しても特殊兵器が失うだけでミスにはならない新設設計です。
また、自機の周りにつくオプションは耐久度があり、一定数のパワーアップチップを集めることにストックが増え、一定のダメージを食らうと1つ消費します。
 
自機の操作は方向レバーと3ボタンを使用し、ボタンはそれぞれメインショット・特殊兵器・オプションフォーメーションチェンジに振り分けられ、ポーズ時に自機の移動スピードを調整することができます。
正式な対応ではないものの(説明書には未掲載)、電波新聞社のアナログジョイスティックXE-1APに対応し、「アナログスティックの傾き加減が自機の座標に対応する」ので、もはや別物のゲームになりますが、それだけに相当な慣れ必要です。
 
難易度を上げさえしなければ、基本的に撃って撃ちまくれば先に進められるバランスなので、シューティングとしては大味ですが、アーケード作品のように「1コインで何分遊ばせる」といったしがらみはないので、家庭用シューティングとしてこの調整はありだと思います。
 
その反面、難易度ハードでは追尾ミサイルの凶悪さも味わえるので、難易度面でいえば比較的幅広い層に楽しめるバランスかと思います。それに難易度ごとにエンディングに一枚絵が追加されるので、ノーマルモードで満足してしまった人でも是非ともハードモードに挑戦してもらいたいです。
 
コンパイルのメガドライブソフトとしては初期にあたりますが、怪しくも独特な和風デザインのグラフィック、各場面に合った攻撃的で激しいBGMなど、メガドライブソフト全体的に見ても完成度の高い仕上がりとなっています。
中でも、派手で美しい爆発パターン、日本テレネット作品に匹敵するオープニングのビジュアルシーンは当時のメガドライブユーザーを驚かせたでしょう。
また、ステージ中には様々な演出が用意され、中には途中で高速スクロールになったり、何度も再戦を仕掛けてくるライバル機”大亜51”が登場したりと、変化のある展開は中だるみを感じません。
 
メガドライブオリジナルシューティングとして名作と誉れ高い本作ですが、改めてプレイするとやはり気になるのがステージ道中の長さ。これは過去のコンパイルシューティングもそうでしたが、1つのステージにつき5分以上の長さで、近年の各ステージが短いシューティングに慣れているとプレイしていて疲れます。幸いにも本作は全7ステージしかないので総プレイ時間はそこまで長くはありませんが、同じステージが長く続くと精神的に疲れてしまいます。
また、全体的にシューティングゲームとして大味なゲーム性も、人によっては賛否が分かれるところで、シビアなバランスが好むアーケード寄りのゲーマーには賛否両論でしょう。特にメガドライブユーザーはアーケードゲーム好きが多いので、人によってはショットをたれ流しているだけで面白みを感じないのかも知れません(実際、そういった批評があった)。
シューティング初心者視点で見れば、特殊兵器さえ持っていれば一度の被弾ならセーフで、得点によるエクステントの早さのおかげで、多少の努力さえすれば難易度イージーでも簡単にクリアできますが、そもそもメガドライブユーザーで初心者プレイヤーがいるかどうかは疑問です(笑)
個人的には、自機スピードを調整するのにわざわざポーズをかける必要があるのが、そこでゲームのテンポを崩してしまい残念でした(これは続編『電忍アレスタ』で改善されていますが、肝心のゲームが…)。
 
 
当時は入荷本数が少なかったのか、数あるメガドライブソフトの中でも私がかつて入手に苦労した一本で、どこのショップでも見つからず途方に暮れていたのですが、結果的に都市部を中心に1992年に行われた再販時にようやく手にすることができました。
セガの前世代機であるマスターシステムに初代『アレスタ』が発売されたので、『武者アレスタ』の前人気はそこそこあったのですが、本作が発売される一日前にサードパーティ初の8メガを採用したシューティング『ダライアスII』(タイトー)が発売されたので、専門誌やユーザーの話題はそちらに流れていった印象でした。
当時は「大容量=凄いゲーム」という印象が強かったので、『武者アレスタ』の4メガは当時の水準といえる容量でしたが、それの倍の容量を使用した『ダライアスII』を期待しない方が無理があります(それにダライアスシリーズの売りのステージ分岐は当時としても珍しかったし)。
 
事実、当時の専門誌の扱いも『ダライアスII』が大きく扱われ(中には別冊付録まで作られた雑誌も)、流通の面も『ダライアスII』を多く仕入れた店が多く(その代わり値崩れも早かった…)、当時『武者アレスタ』を購入した人はマスターシステムからのユーザーが中心なのでは?と思ったほど目立った売上ではありませんでした。もっとも、それ以上に出回りが悪かったのが要因と思われますが、今となっては知る由もありません。
 
それでも、専門誌では同時期に発売された『ヴェリテックス』(アスミック)『ガイアレス』(日本テレネット)よりも高く評価されていたので、その評判を見て欲しくても手に入らないユーザーは、私も含めて多くいたと思います。
 
その評判が結果的に、その他のユーザーやメーカーにも伝わり、最終的に再販に繋がったのですから、作品にとっては幸せだと思います。
何せ、メガドライブソフトは基本的に再販される機会が少ない上、再販された1992年はシューティングゲームが下火になった時期でもありましたが(ちなみにサンダーフォースシリーズで知られるテクノソフトはこの年を最後にメガドライブから撤退…)、この再販はユーザーにとって待ちに待った再販だったこともあってか、1992年当時の『BEEP!メガドライブ』(ソフトバンク)では売り上げランキング上位に入ったのが人気の高さを証明しています。
 
なお、私がこのゲームに興味を持ったのが、メガドライブを手に入れた後、1992年1月以降で、『武者アレスタ』が発売されてから一年以上経った後でした。中学2年生の頃の話なので当時の記憶が曖昧ですが、メガドライブはアーケード移植が多い安価なX68000やネオジオの印象を持っていたので、本体を買ったばかりの私はアーケード移植中心にチェックしていました。
 
そんな感じでアーケード移植作品を買い集めてきましたが、メガドライブソフトを調べているうちに、メガドライブオリジナルで評価が高い作品の一つとして『武者アレスタ』の存在が妙に目立って見えました。それからしばらくして、『BEEP!メガドライブ』(ソフトバンク)に掲載された渋谷洋一氏の紹介記を読んでますます興味を持ちました。
 
それから近くのショップをハシゴしましたが全く見つからず、たまたまその直後に再販があり、ようやく手にすることができました。トイザらス2号店(相模原店)で4,999円で購入。はっきり言って運がよかったです。
 
実際にプレイしてみて、入手に苦労した分の面白さを感じられたので満足度が高かったです。ノーマルはその日にクリアしましたが、購入前から難易度ごとにエンディングが異なることを知っていたので、次の日からひたすらハードモードに挑戦していました。それから数ヶ月後にようやくハードモードをクリアすることができましたが、追尾ミサイルに相当泣かされた分、かなり感動しました。
 
先述した道中の長さも、当時の家庭用シューティングは道中が長くて当たり前だったので、その頃は気にしませんでした(一面だけは長く感じたかも?)。
好みはあるにせよ、初プレイでもそこそこ進められるゲームというのはメガドライブでは少ないので、そういった点では同じように万人向けバランスを持つ『バトルマニア』(ビック東海)『鋼鉄帝国』(ホットビィ)と並ぶ、評価すべきゲームの一つだと思います。
イメージ 1
私が知る限り、一度は再販したおかげで中古での入手は比較的容易ですが、カートリッジのラベル部分が非常に剥がれやすいので、美品での入手は非常に困難です。
状態さえこだわらなければ秋葉原では最安値で840円で買えますが、美品だとまんだらけあたりでは別評価で定価超えは当たり前です。店頭で見ては財布の中身と相談して買っていますが、やはり綺麗な状態で手に入れるのは難しいですね。
まあ遊ぶだけならWiiでも配信されているので、いい時代になったものです。600円なら試しても損はないと思いますし(笑)

『タイムギャル』は、1985年にアーケードで稼働されたタイトーのLDゲームで、移植版であるこのメガCD版は1992年にウルフチーム(日本テレネット)より発売されました。
 
歴史保安警察である主人公”レイカ”が、タイムマシンを奪って逃亡した未来の大悪党”ルーダ”を追跡するため、過去の時代にさかのぼって冒険を繰り広げていく、タイムスリップを題材にした冒険活劇物です。
 
元のアーケード版は、ゲーム全編がLDによる連続再生されたアニメ画像が特徴で、ゲーム中各所で表示される指示に従って、タイミングよく方向キーやボタンを押すシンプルなゲーム性となっています。
表示される時間はコンマ数秒なので、序盤ならともかく、後半からは表示を見てからボタンを押すのは難しく、いかにパターンを覚えて攻略するのがクリアへの道となっています。
今の若いゲーマーには「QTE」そのものと言えば分かりやすいでしょう。
 
 
さて、このメガCD版は、国産PC(VHDメディア)以外の家庭用では初移植となりますが、動画再生機能がなく、CDメディアであるメガCDではアーケード版の美麗で滑らかなアニメーションを求めるのは酷ですが、同社が以前手掛けた『サンダーストームFX』(アーケード版はデータイーストより発売)に比べれば格段の進化が見られます。
動きはガクガク、グラフィックは粗くなっていますが、メガCDへの移植の際に元の画像を一枚一枚手作業で修正されているので、アーケード版とは劣るとはいえ、当時の家庭用としてはなかなか動きの凝ったビジュアルシーンという印象でした。
この辺りは、「ビジュアルシーンのテレネット!」と言われるほど、かつての作品で培われた技術の集大成と言える完成度と言えます。
 
しかし、元がLDゲームだけあって、成否を含め、入力したボタンに応じて再生させる動画を切り替えてるだけなので、ボタンを押すパターンは決まっていることもあり、覚えてしまえばクリアが見えてくる反面、飽きるのが早くなるもの仕方ないと思います。
その代わり、ミス時のレイカのやられパターンが豊富に揃っているので(あとはルーダの高笑いw)、わざとミスを繰り返し、全パターンを見るのも、お金の掛からないメガCD版の利点だと思います(笑)
 
今となっては画像が粗いだけのメガCD版ですが、敢えてメガCD版の利点といえば、アーケード版にはなかった声優の山本百合子さんが歌う主題歌の追加と、ビジュアルシーンをじっくり観賞するのに適したステージセレクトの裏技の搭載(スタートメニュー画面で左・右・右・上の順に押し、その後ゲームをスタートさせる)、そして移植版の中でもっとも入手難易度が低いという点でしょうか。
ただ、メガCD版が発売された1993年の時点で懐かしいゲーム扱いだった『タイムギャル』がそこそこ売れた(=今でも中古でよく見かける)という事実は、例え古くても名作と呼ばれたゲームは押さえようとするメガドライブユーザーの特徴でもありますが、改めてメガドライバーのマニアックさを伺えます。
 
ちなみに私は、メガCD版発売当時、アーケード版の存在も、ゲーセンに置かれたレイカの等身大ポップが盗まれるほどのタイトーを代表する人気キャラクターであったことも知らない無知な少年だったので、当然ながらアーケード版の思い入れなどはなく、購入は確かセガサターンが発売された後でした。
おかげで、せっかくメガCD版で再現されたアニメーションも感動することもなく、そこまでやり込むことはなかったのですが、TVアニメ版『ダーティペア』(原作:高千穂遥)を彷彿させるレイカのビジュアルは当時を知らないながらも懐かしながらプレイしました。
こんなことを言っている時点でオッサンですが(笑)
 
それ以上に思い出深いのは、当時『BEEP!メガドライブ』(ソフトバンク)『メガドライブFAN』(徳間書店)で掲載された故飯島愛さんのレイカのコスプレだったりします(笑)
当時の飯島さんはギルガメ&Tバックで有名でしたが、今思えばあの頃はまだまだ景気がよかったなあ。それでも当時には戻りたくないですが。ケータイもネットも普及していないですし(笑)

ところで私は日本メガCD版のみならず、欧州メガCD版まで所有しています。
しかし、日本版では美少女顔だったレイカが…
イメージ 2
 
欧州版ではこんな顔に…(ゲーム本編は日本版と変わらない)
イメージ 1
彼らの萌え文化は理解できそうにありません…(笑)
 
ちなみに欧州メガCD版のパッケージは、日本版とは違い2枚組仕様のケースですが(入っているディスクは一枚のみ)、これは説明書が多国語に対応している為、説明書が厚くなってしまいこのようなケースを採用していたりします(豆知識)

本作は、シエラオンライン社が発売したPC用ゲームをメガCD向けに移植した作品で、映画『ブレードランナー』を彷彿させる荒廃した近未来のロサンゼルスを舞台に、プレイヤーは私立探偵のブレイドとなり、市長の依頼である「連続変死事件」を調査するのが目的のサイバーパンク・アドベンチャーゲームです。
このメガCD版はセガより1992年に発売され、開発はゲームアーツによって行われました。
 
当時のPCゲームはともかく、家庭用ハードのアドベンチャーゲームでは珍しかった完全カーソルクリック方式を採用し、画面上のオブジェクトをカーソルでクリックすることで、そのオブジェクトに応じた反応があるのが特徴です(例えば、人にクリックすればその人と会話し、アイテムをクリックすればそのアイテムを入手し、蛇口をクリックすれば水が出て、扉にクリックすればその扉の中に入る事ができる)
 
また、ゲームはリアルタイム制で、プレイヤーが行動を起こす度に時間が進行し、特定の時間に起こるイベントがあるだけではなく、プレイヤーの進行状況とは関係なしに強制的にイベントが起きるので、事実上、クリアまでに時間制限があります。
 
他にも、現実に即した難易度も特徴で、深夜になれば場所問わずにプレイヤーはその場で眠り(路上で寝てしまうと例え重要アイテムでも盗まれる可能性がある!)、重要人物を怒らせたら協力を得られずにクリア不能になったり、裸のまま外に出ると「ワイセツ物陳列罪」(笑)で逮捕(ゲームオーバー)されるなど、その場その場の判断力が必要となっています。
 
私自身、元のPC版をやったことがないので比較できませんが、単体のアドベンチャーとして見れば操作性・短めな読み込み時間など、プレイ中のストレスなく、快適にプレイでき、グラフィックも洋ゲーならではのリアルタッチの怪しい雰囲気が抜群で、好みが合えばハマる人はハマるのではないのでしょうか。カーソルクリックをしまくってその反応を楽しむのもなかなか面白いです。
 
ただ、高い自由度の反面、クリア不可能なハマり状態に陥ってもそれに気付かない上に、セーブは可能。また、普通にプレイすれば問題はないのですが、無駄な行動をしまくると、特定の時間帯で発生するイベントに間に合わなくなります。
必然的に何度もプレイして、思考錯誤しながら進んでいくタイプのゲームですが、80年代初期の国産PCアドベンチャーに見られた「こんなのプログラム解析しなきゃわからない!」と言った理不尽な謎解きはなく、解法を知っていれば数時間でクリアできるボリュームなので、繰り返しプレイは苦痛ではありません。
 
洋ゲー移植のキモとなるローカライズですが、この時期のアドベンチャーゲームとしては珍しく、登場人物の台詞はなんとフルボイスで、テキスト表示は一部(選択肢やアイテム表記など)を除いてありません。
音声を聞いてゲームを進めなければなりませんが、メガCDソフトとしては比較的音声がクリアなので、聞き取りにくい場面はそうなかったです。ただ、同じ台詞を何度も聞くことができないので注意が必要ですが、世界観に合った登場人物のセリフ回しや実力派声優による演技が秀逸で、それが日本国内版の魅力となっています。
 
プレイヤーの行動によっては容易にハマり状態になる現実的な難易度は、元のPC版からあった部分なので仕方ないのですが、途中に挿入される横スクロールアクションは見た目がショボイ上、操作性が悪いので、せっかくの雰囲気が台無しですし、純粋なアドベンチャーを求めている人には不要な要素です。せめて、アクションシーンの難易度が低いのが救いと言えます(あと説明書に掲載してあるガンシュー風のミニゲームに到達したことが未だにないのですが…)
 
総合的に見てこのメガCD版は、元のゲームの時点で完成度が高いとはいえ、ハードスペック差のあるメガCDで、ユーザーにストレスなく、クオリティの高いまま移植した、ゲームアーツの技術力の高さを伺わせる作りとなっています。あとは、このシビアでハードな世界観にハマるかどうかで、評価が分かれると思います。
 
 
 
なお、私がこのゲームを買ったのは本作の発売の一年後で、発売から結構経っているのにも関わらず大量に売れ残っていて、新品980円で見つけることができました。メガCDを買ったばかりの私はこの安さと、雑誌での評判の高さに惹かれ購入しました。
 
購入後、帰宅して速攻起動しましたが、オブジェクトをクリックするだけで主人公が対象物について冗談混じりで音声で説明する部分や、登場人物のフルボイスの演出に衝撃を受けた記憶があります。その頃まだまだCDロム作品に免疫がなかったので、今となってはどうってことのないレベルの演出でも感動しました。
 
しかし、序盤にも関わらず、どうしてもクリアできなくなってしばらく放置していたんですよね。移動出来るところは全てまわり、クリックできるところは全てチェックしたのですが、どうしてもそこから先に進めず、半ば諦めてしまいました。当時はまだインターネットという便利な物がなく(パソコン通信の時代)、それどころか、そもそもこのゲームが売れるわけでもなかったので当然攻略本が存在せず、クリアするには自力で解法を見つけるしかなかったんですよね。
 
それから数ヶ月、ふと思い出したように再起動したら、どうやら”とある人物”に対する選択肢を間違っていたようで(わざと一度は怒らせなければいけなかったらしい…ってわかるか!w)、そこからサクサク進み、その頃には『BEEP!メガドライブ別冊メガドライブメガCDオールソフトカタログ』(ソフトバンク刊)に配電盤トラップの解法が掲載されたおかげで、そのままクリア(ただし、ヒロイン救出のトラップは苦戦しましたが)。解き応えのある難易度だったので、一時期放置していた分、かなりの達成感を味わう事ができました。
クリアする頃にはこの世界観にハマって、解法が分かれば数時間でクリアできることもあって、何度も繰り返しプレイしました。
 
行動の自由度が高い割には、エンディングは基本的に一つですが(正確にはヒロインを救出できたかどうかでラストが多少変わる)、一本の映画(しかもB級映画w)を観る感じでプレイすればほんの些細な問題でした。今でもたまにやりたくなる一品です。

なお、メガCD版のスタッフは後に『うる星やつら ディアマイフレンズ』(販売:ゲームアーツ)に関わる事になりますが、こちらもまた本作と同様にカーソルクリックによる反応が楽しい一品となっています。ただ、こちらは『ライズオブザドラゴン』ほどのシビアさは皆無なので、気楽に『うる星やつら』の世界を楽しむアドベンチャーとして、これはこれで気に入っている一本です(ただし後半はほぼ一本道なのが残念ですが)

イメージ 1
ところでこのゲーム、家庭用移植ということでエグいシーンはオリジナル版と比べマイルドになっているようですが、それでも扱っている題材が題材だけにグロテスクなシーンは結構あります。
国内版は1992年当時まだレーティングの概念がないので一応は全年齢扱いですが、北米版ではMA-17(推奨年齢17歳以上)となっています。レーティングが日本より厳しいアメリカならではですね。

↑このページのトップヘ