カテゴリ: PCエンジンレビュー

本作は1988年に稼働したアイレムのアーケードゲーム『イメージファイト』の移植版で、このPCエンジン版はHuカードメディアとして同社より1990年に発売されました。
ジャンルは縦スクロールシューティングゲームで、アーケード版は同社の名作横スクロールシューティング『R-TYPE』のスタッフが手掛けたことで知られています。
 
操作はショットボタンとスピード変速ボタンの2ボタン+8方向レバーのみで、シューティングゲームとしては比較的シンプルなものですが、R-TYPEのスタッフが製作したという触れ込みだけに、縦スクロールシューティングとしては珍しい当たり判定のある地形、自機の周りをサポートする攻撃補助ユニット「ポッド」の存在など、R-TYPE同様、撃って避けるだけではなく、パターン性や戦略性の高い内容となっています。
 
システムの中でも特に特徴的なのは攻撃補助ユニット「ポッド」で、アイテムボックスから出現するポッドを取ることによって自機の周りに最大3つ装備することができ(左・右・後方)、ショットボタンを押すことによって通常ショットと同威力のショットをポッドから発射することができます。そしてこのポッドは2種類あり、青色は前方固定で、赤色はレバーの入力方向と逆の方向にショットを撃つことができ、前方以外から出現する敵を対処することが可能となっています。
また、ポッドを飛ばすことができたり(ポッドシュート)、ポッドを敵に接触させてダメージを与えることができ、ポッドを使いこなすことが攻略の鍵となります。
アイテムボックスにはポッドの他にも、機首に取り付けられる9つのパーツがあり、装着させることによってパーツ別に異なるショットを発射したり、パーツ自身に耐久力があるのでちょっとしたシールド代わりにもなります。
 
他にも、当時のシューティングゲームとしては珍しく、自機の移動スピードを4段階に任意で変速することができますが、それだけでなく、変速時には自機の後方から攻撃判定のあるバックファイアーを発射することができ、それを利用して敵にダメージを与えることができます。
この「スピード変速」や「バックファイアー」の2つの要素は、後の90年代シューティングゲームに多少なりとも影響を与え、特にハドソンのシューティングキャラバンシリーズではどちらの要素を取り入れるなど、本作の影響をかなり受けていることが伺えます。
このシステムは特に自機の装備が貧弱なミス後の復活時に便利で、不利な状況でも紙一重で切り抜けることも可能となっています。
 
ステージ終了後のリザルト画面には敵機の撃破率が表示されますが、前半5面の撃破率の平均が90%を下回るとペナルティとして補修ステージに飛ばされてしまいます。ひたすら難易度が高く、いかにペナルティを受けずにゲームを進めるかがクリアーへの鍵となります。
 
気になるPCエンジン版の出来ですが、容量の関係で一部の背景が簡略されていたり、画面比率の関係でバランスが再調整されていますが、『イメージファイト』としてのゲーム性はきちんと再現されています。アーケード版にあった安全地帯は、画面比率の関係で再現されていませんが、場所を変えて健在です。
PCエンジン初期の名作『R-TYPE』(販売元ハドソン)に比べると流石に移植度は劣りますが、当時の家庭用ハードの性能を考えると十分に及第点です。これ以上の移植度を求めるとなると、当時はフルセットで40万以上もするX68000(シャープのパソコン)ぐらいしかありませんでしたが、24800円(初期PCエンジン、コアグラフィックス)のハードでこれだけのものができれば文句はないはずです。むしろ、横画面の家庭用テレビで遊ぶことを前提とすれば、後発のセガサターン&プレイステーション版よりも遥かに遊び易いです(アーケード版と同じパターンにしてしまったため、横画面モードでは画面外から敵が弾を撃ってくるのが原因)。
 
アーケード版は高難易度シューティングとして知られていますが、PCエンジン版ではスタート時に3種類から難易度が選べ、しかもコンティニュー回数は無限なので、パターン性の高いこのゲームにおいて繰り返し再挑戦できる作りは、アーケード版に興味がありながらも高難易度で手を出せなかったユーザーには嬉しい限りです。
また、全体的に敵が硬いのですが、アーケード版やファミコン版は異なり、このPCエンジン版ではオート連射がデフォルトで搭載されているので、コントロールパッドでの操作も苦痛ではありません。アーケード版と同様に単発設定も可能ですが、連射があるのとないのとではえらく難易度が変わるので、単発設定は上級者向けと言えます。
余談ですが、アーケード版は流石に手動連射は厳しいと思ったのか、ゲームセンター側がそれを考慮して、筐体をオート連射設定にしている店を多く見かけました。同時期に稼働された東亜プランの『TATSUJIN』と合わせて、手動連射から自動連射へと切り替わった変換期のシューティングゲームとも言えます(奇しくも、ちょうどこの時期は16連射で有名な高橋名人がメディアでの登場回数が減っていった)。
 
当時は同名ファミコン版と同時期発売を目指して開発されましたが(ファミコン版は19903月発売)、開発は遅れに遅れ、同年の7月に発売されました。
アーケード版はR-TYPEのスタッフが関わったというのもあり、マニアの間で知名度があったので期待されたソフトではあったのですが、ちょうどその頃、当時の話題作『スーパースターソルジャー』(ハドソン)が発売されてしまいタイミングを逃した感があります。
それが理由かわかりませんが、当時は目立ったセールスにならず、私の地元では発売から半年も経たずにファミコン版と一緒に新品で1480円で並んでいる姿をディスカウントストア(今は亡きダイクマ矢部店)で見かけました。
TVCM(それがファミコン版だったかPCエンジン版だったか失念)での「R-TYPEのスタッフが手掛けた」という触れ込みに興味を持っていましたが、当時の私はPCエンジンを持っていなかったので仕方なしにファミコン版を買い、PCエンジン版の方はPCエンジンユーザーであった友人に買わせ、友人の家に遊びに行くたびに遊んでいました。
その頃はまだPCエンジンの性能に免疫がなかったので、「これだけのクオリティのゲームがたった1480円で買えるのか!」という衝撃を受け、アーケードレベルの作品が安価で手に入るPCエンジンユーザーが羨ましく感じました(それどころかファミコン版との格差に、敢えてファミコン版を購入してしまった行為に凹んでしまったw)。
結局PCエンジン版を買ったのがかなり後で、1996年春に秋葉原のラオックスで新品500円ぐらいで購入しましたが、その頃には興味が薄れてしまい、あまりプレイすることはありませんでした(笑)。
 
90年代後半からの縦スクロールシューティングは、『怒首領蜂』(アトラス/ケイブ)から始まったアドリブ重視の弾幕系が主流となり、本作のようなパターン重視の縦スクロールシューティングは希少になりつつあります(数少ない例がトレジャーの『レイディアントシルバーガン』『斑鳩』)。パターン重視のゲームは覚えなければ納得しないミスが多いですが、その代わり、繰り返し遊べば下手な人でもそれなりに先に進められるバランスがパターン重視のゲームの魅力だと思います。
 
そういった意味で、今となっては手軽にパターンを組み立てる楽しさを味わえるシューティングとして価値のある作品だと思います。読み込みもないHuカードメディアという手頃さも手伝って、お気に入りの一本でもあります。
 

1992年に稼働されたカプコンの同名アーケード作品の移植で、アーケード版が稼働から一年三ヶ月後の19936月にPCエンジン版がNECより発売されました。
本作は、同社の代表する対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』のアッパーバージョンで、やや大味だった前作の対戦バランスを再調整し、同キャラ対戦が可能になったり、CPU専用キャラであった四天王が使用可能となったりと、対戦格闘ツールとしてより強化された内容となりました。
 
このPCエンジン版は、より多くのユーザーにプレイして欲しいためか、CDロムメディアではなく20メガビットのHuカードでのリリースとなり、販売元こそはNECですが、開発元がカプコンということもあり、キャラクターサイズや、インターフェイス周りなど、スーパーファミコン版『ストリートファイターII』をベースに改良された作りとなっています(オープニングアニメやピンチ時のBGMはスーパーファミコン版と同様に削除された)。
ベースとなったスーパーファミコン版『ストリートファイターII』よりも4メガ増量ということもあって、アーケード版『ダッシュ』の要素の追加だけでなく、音声の増量や、削除された樽ステージが復活されています。
 
スーパーファミコン版同様、容量関係でキャラクターパターンに多少の省略はあるものの、キャラクターの動きや、それに伴う操作性など、プレイ感覚に違和感がありません。
また、PCエンジンのハード的な問題で2重スクロールがなかったり(地面のラスタースクロールは再現されている)、音源が貧弱ですが、その代わり当時としては音声がそこそこクリアで(メガドライブ版よりも確実に上)、PCエンジンらしいシャープな質感のグラフィックが美しく(ジャギーが目立ちますが)、PCエンジンであることを考えると及第点以上の仕上がりです。過去にカプコンはPCエンジンで『サイドアーム』や『ソンソンII』等を手掛けたこともあり(発売元はいずれもNECアベニュー)、移植物には手慣れている感があります。
当時のアーケード移植物としては水準以上の仕上がりですが、それ以上にPCエンジンとしては初めて完成度の高い対戦格闘ゲームとして発売されたので(一応初代が『ファイティングストリート』として発売されていますが、対人戦はおまけ程度の扱いだった)、アーケード版のファンのみならず、対戦格闘ゲームに興味を持ったユーザーにも話題性十分でした。
 
操作性の面では、元のアーケード版はパンチとキックに強・中・弱のそれぞれ3ボタン、計6ボタンに割り与えていましたが、PCエンジンには元々2つのボタンしかないので(セレクト、ランボタンを含めても4ボタン)、本作の為に6ボタンに対応したアベニューパッド6NECアベニューから発売されました。このパッド、3980円と高価な上、持ちにくく、それぞれのボタンがやや離れているので、使いにくいのが難点でした。同時期にHORIから発売されたファイティングコマンダーは、2980円とやや安価で、形状がスーパーファミコンのコントローラに似ているので持ちやすく、連射機能が充実しているので、むしろこちらの方を愛用していました。
なお、通常の2ボタンパッドでプレイすると、ランボタン・1ボタン・2ボタンがそれぞれ強・中・弱の攻撃ボタンに割り与えられ、セレクトボタンでパンチ・キックの切り替えになるのですが、その特殊な操作方法から、ハンデ戦にも使えるのがスーパーファミコン版にはない利点だと思います。
 
個人的に頑張ったな、と思ったのがソフトの価格。今からみれば9800円は高額設定ですが(参考までに1990年に発売されたPCエンジンスーパーグラフィックスの『大魔界村』は8メガビットで10800円)、大容量のシステムカードである『アーケードカードDuo』『アーケードカードPro』の価格が一万を軽く上回ったことを考えると、利益よりも本体普及の起爆剤として戦略的な価格設定をしたのではないかと思ったりします(記憶が不確かですが、NECの広報の人が専門誌で赤字の価格設定と言っていた気がする)。
しかし、本作を十分に楽しむには別売りの6ボタンパッドは必須で、さらに対人戦するにはマルチタップと2個の6ボタンパッドが必要なので、全て定価で購入すると2万近く掛かります(3割引きでも15000円ぐらい)。それでもHuカード作品としてはかなり売れたので、どれだけユーザーが待望したソフトだったかを伺えます。
ただ、本作の翌月には、本作の要素に加え、当時の最新作だった『ストリートファイターIIダッシュターボ』の要素を加えたスーパーファミコン版『ストリートファイターIIターボ』が発売されたので、悔しい思いをしたPCエンジンユーザーは多かったと思います。まさに一ヶ月天下でした。
他にも、当時はすでにアーケードで『ストリートファイターIIダッシュターボ』が稼働されていたのも痛かったです。
 
筆者の場合、本作をワゴンで買ったので、安価で手に入るお手軽な対戦格闘ゲームとして遊んでいました。先述した通り、すでに『ストリートファイターIIダッシュターボ』が稼働されていたので一部の対戦格闘ゲーマーはダッシュのスピードが鈍いとの声がありましたが、個人的にはダッシュターボのスピードについていけなかったので、むしろダッシュの内容で満足していました(事実、ターボのスピードについていけなかった人は多かったようで、一部のゲーマーはネオジオの対戦格闘に流れつつあった)。
人気作だけに当時多くの機種に移植され、その機種ごとに一長一短ですが(マスターシステム版は問題外…)、グラフィックに関してはシャープな質感のPCエンジン版が気に入っています。あくまでダッシュの移植なので、ハメ技が多いという難点がありますが、コンボ重視の近年の対戦格闘ゲームよりも作りがシンプルなので、オーソドックスながらも完成された面白さがあります。
 
ところで、早期購入者には春麗ファンブック(ケースに入るようなコンパクトサイズ)とミニうちわが貰えるキャンペーンが行われましたが、実際にもらった人はどれだけいるのでしょうか?過去10年以上秋葉原に通っていながらも中古で見掛けたのがたった一回しかありません。値段が付くとは思えませんが、今では手に入りにくい一品であることには違いがありません。
 
余談ですが、当時放映された本作のTVCMは、ベガがダブルニーハメで春麗を圧倒するという内容でした。公式でハメ技をTVCMとして放映するなんて、当時はどうかと思いました(メーカーがハメ技を認めているようなもの)

本作は1987年にアーケードで稼働された東亜プランの同名シューティングの移植で、アーケード版の販売元であるタイトーより1989年に発売されました。プレイヤーはストック制ボンバーを搭載した戦闘ヘリを操り、4種類のメインショットを切り替えながら全10ステージ(ループ制)を進んでいく縦スクロールシューティングゲームです。
当時はゲームセンターでシューティングゲームが盛り上がっていた時期で、『グラディウス』や『R-TYPE』など独自のシステムやパワーアップを採用したシューティングが次々と発売されましたが、本作はそれらタイトルと逆行するようにごくオーソドックスな内容で、「撃つ・避ける」に特化したシンプルな作りが評価を博し、ゲーマーのみならず営業系サラリーマン(?)にもヒットし、多くの家庭用機種に移植されるほどの高い人気を誇りました。後に『雷電』など、多くのフォロワーが発売され、縦スクロールシューティングのスタンダートともいえる作品です。
 
家庭用として初の移植版となるこのPCエンジン版は、PCエンジンソフトとしては初期作品にあたるものの、アーケード版ファンのみならず、アーケード版に馴染みの無いユーザーにも高い評価されました。
元のアーケード版は縦画面でしたが、横画面であるPCエンジン版は、移植に際し、キャラクターの大きさはそのままに、敵弾の低速化や敵の配置を調整することによって画面の狭さを感じさせない作りとなっています。その為、難易度はアーケード版よりもかなり控え目となっていますが、シューティングに興味ありながらもなかなか手を出せないようなプレイヤーには遊び易い難易度になっています。アーケード版の練習用として買うには物足りないですが、段々とマニアック化していくシューティングゲームにおいて、本作のように万人にも遊べる作りはそれだけでも価値があるので、むしろアーケード版ファンよりも、シューティングビギナーにうけた作品かも知れません。
また、ゲーム部分のみならず、当時はまだファミコン最盛期ということもあり、ファミコンでは表現できないグラフィックの描き込み具合や、アーケード版と遜色ないサウンド(正確にはPCエンジン音源向けにアレンジされているが原曲を尊重したアレンジ)に、ユーザーにPCエンジンを持っていてよかったと思わせるほどの高いクオリティを誇りました。
PCエンジン初期ということもあり、当時は2メガビットのHuカードが最大容量でしたが(本作の3ヶ月前に発売された『スペースハリアー』は初の4メガビットですが、本作の開発中にはまだ4メガビットHuカードは存在しなかった)、決して大容量でないながらも、ここまでアーケード版の内容を収めたところも評価できます。同時期にナムコから発売された『ドラゴンスピリット』は同じ容量を使用しながらもステージやデモがカットされたことを考えると、たった2メガで当時のアーケードシューティングを移植するには無理があったはずです(余談ですが、ファミコン版『究極タイガー』2メガビットでした)。
 
なお、PCエンジン版の後発に発売されたメガドライブ版(トレコ販売)は、アーケード版の縦画面のバランスのまま横画面に移植したため、狭い画面で速い弾を避ける必要があり、アーケード版よりも難易度の高い無茶なバランスになっています。先行して発売されたPCエンジン版の出来がよかっただけに残念に思うファンが多くいました。しかも、PCエンジン版の倍(4メガビット)の容量を使っていてこの出来は正直悲しかったです。逆に言えば、どれだけPCエンジン版の出来がよかったか、このメガドライブ版によって改めて認識する羽目になりましたが…。
 
筆者がこのゲームを知ったのが、当時テレビ東京で放映していたゲーム番組『大竹まことのPCランド』でした。大きなキャラクターや美しいグラフィックは、今まで遊んでいたファミコンでは不可能なクオリティで、少なくともゲームセンターに馴染みの無い小学6年生であった筆者にとっては十分アーケードレベルのゲームに見えました。当時はファミコンしか持っていなかったので買うことが出来なかったのですが(そもそもPCエンジン本体が24800円と高額で小中学生にとっては高嶺の花過ぎた)、PCエンジンユーザーだった友人に営業トークで勧めて(笑)買わせました。Huカード時代の初期PCエンジンを代表する定番タイトルということもあり、中古相場が高かったのですが(30003500円)、今思えばそんな高いゲームを買わせてしまった自分も酷いな、と思いました。せめて友人が「クソゲー」と言わなかったのが救いですが…(笑)。
今となってはこれより移植度の高いプレイステーション版が発売されましたが、誰でも手軽にオーソドックスなシューティングが楽しめる点ではこちらのPCエンジン版の方が気に入っています。現在、2Dシューティングゲームは一般的にはマニアックなジャンルと認識されていますが、「撃つ・避ける・ピンチになったらボンバー」というシンプルなゲーム性は下手な王道ジャンルよりも万人向けだと思います。PCエンジンで発売された、いわゆる「東亜タイプのシューティング」は他にも『雷電(SUPER雷電)』『TATSUJIN』等が発売されましたが、その中でも本作は定番タイトルとして残しておきたい逸品だと思います。
 
ところでこの『究極タイガー』の「究極」、当時『美味しんぼ』によって流行語となりましたが、小学生の私にとって「究極の虎って何だろう?」と不思議がっていました。あまりにもの無茶苦茶なタイトルで印象に残っていたゲームなのですが、後に同社が発売した『TATSUJIN』『ドギューン!』『BATSUGUN』、そしてケイブの『首領蜂』『怒首領蜂』など、東亜プランやその系譜のシューティングをやり続けているので、今思えば東亜シューティングの付き合いはここから始まっていたのかも知れません。

1987年にアーケードで稼働されたナムコの同名タイトルの移植で、当時としては珍しいドラゴンを自機としたファンタジーシューティングゲームです。PCエンジンのナムコット作品としては初期に当たる1988年に発売されました。アーケード版が稼働された1987年は、『R-TYPE』(アイレム)や『ダライアス』(タイトー)といった今でも語り継がれている名作シューティングが同年に稼働されましたが、それらに勝るとも劣らない完成度で、後に数多くの機種に移植されるほどの人気作でもあります。
 
本作は、上空や地上から出現する敵をそれぞれに対応したショットで撃ち分けながら進んで行くゼビウスタイプの縦スクロールシューティングで、アイテム取得によるパワーアップシステムや、ライフ制&残機制を採用しているのが特徴です。2タイプのショットの撃ち分けは同社の『ゼビウス』を彷彿し、パワーアップアイテムである青玉を取ると攻撃の幅が広くなる(首が最大3つまで増える)代わりに当たり判定が大きくなるという仕様は同社の『ギャラガ』を彷彿させる辺りに、ナムコシューティングの集大成的な作りであることを実感します。そのせいか、エンディングではそれまでナムコから発売されたゲームのタイトルが表示される演出があります(アーケード版はアーケードタイトルのみの表示で、PCエンジン版では家庭用のナムコット作品のみ)。
 
このPCエンジン版は、当時のHuカードの規格上最大で2メガビットの容量しか搭載できなかったので、スタート時の変身シーンの削除や、自機のアニメーションパターンの省略(左右の片向きのグラフィック)、そしてアーケード版では9つあったステージが7ステージに減らされていますが、無理矢理仕様をアーケード版に合わせなかったおかげで見た目のグラフィックの再現度が当時のアーケード移植物としてはなかなかの出来映えでした。流石にHuカード2枚組で発売された『R-TYPE III』ほどではないですが、それでも当時としては忠実な方だと思います。アーケード版で話題となった、凝った作りのドラマチックなエンディングも再現しているので、クリアーした時の達成感・充実感もアーケード版と同等です。BGMに関しては、元の音源に性能差があるので聴き比べれば貧弱に感じるものの、当時の移植物としてはなかなかの再現度だと思います。裏技のサウンドモードでじっくり聴けるのも嬉しいところです。
画面比率変更に伴うゲームバランスが再調整されているのも特徴です。アーケード版では首が2つ以上増えるまでは上空と地上を同時にショットすることができなかったのですが、PCエンジン版では最初から上空地上に同時にショットが撃てます。さらに、スピードアップアイテムの追加のおかげで体感的な難易度はかなり下がった印象です。初期のPCエンジンソフトがそうであったようにコンティニュー機能がありませんが、裏技で2回まで使用することができます。
 
PCエンジン中期以降に発売されたシューティングは、『ガンヘッド』タイプか、『究極タイガー』『TATSUJIN』などの東亜シュータイプ(ボンバー搭載系)といった派手なタイプのシューティングが数多く発売されたこともあり、本作はPCエンジンソフト全体として見れば地味ですが、ショットの撃ち分けシステムによる狙って撃つ楽しさを味わえるので、ゲームとしての面白さは見劣らないと思います。また、ステージ削除に関しても、良い方向で解釈すれば、手軽にプレイできる丁度良いボリュームになったと思えばこれでアリだと思います。難易度に関しても、バランス的に厳しかったアーケード版初期バージョンに比べればかなり万人向けに調整されたのも好印象です。ただ、裏技で縦長モードに切り替えることができ、実際こちらのモードの方が圧倒的に遊び易いのですが、タイトル画面で57回もリセットする必要があるのが難点です。効果音に関しても、破壊音が貧弱の為に撃ち込む感覚がないのが残念に思いましたが、アーケード版自体も音楽に注入させる為かそんな感じだったので、こればかりは仕方ないのかも知れません(続編PCエンジン版『ドラゴンセイバー』では大胆にも破壊音はオミットされている)。
 
当時、筆者はまだ小学生高学年ということもあり、アーケード版の存在を知らなく、テレビ東京で放映されたPCエンジン専門番組『大竹まことのただいまPCランド』を観て初めて『ドラゴンスピリット』の存在を知りました。その頃はまだファミコン最盛期だったこともあり、ファミコンでは再現できないグラフィックの鮮やかさ、特に自機の青の発色の綺麗さに、PCエンジンの性能の高さに感心した覚えがあります。アーケード版の存在も知らなかったこともあり、移植度に関しては関心がなく、ただ純粋にハイレベルなシューティングを家庭で遊べるPCエンジンは凄いと感じました。当時はPCエンジンユーザーではなかったので、PCエンジンユーザーだった友人宅に行って遊ばせて貰ったのですが、ゲーム内容に新しさを感じなかったものの(内容的にはパワーアップのある『ゼビウス』ですし)、やはり綺麗なグラフィックはかなりのインパクトでした。
ただ、PCエンジンとしては怪物ソフト(?)『R-TYPE』が先行して発売されていたので、それに比べればインパクトが弱く感じられましたが、それでもPCエンジン初期の普及に貢献したはずです。ほぼ完全移植のX68000版がPCエンジン版に先駆けて発売されましたが、あちらはフルセットで揃えると40万以上するハードなので、それと比較しハードが安価な(それでも24800円…)PCエンジン版はそれなりにニーズがあったはずです。
 
その翌年に発売されたファミコン版は、本作の主人公の息子が主人公という設定ですが、内容的には移植に近い作りとなっています。PCエンジン版と同じ容量を採用しながらも、PCエンジン版では削除された変身のデモシーンや、自機のアニメパターンが増加され、ファミコン音源で再現したBGMもなかなか味があります。どちらもシューティングゲームとしての出来がいいので、比較して見るのもなかなか面白いと思います。
 
余談ですが、『大竹まことのただいまPCランド』の番組内で、PCエンジンベストエンディングとして本作のエンディングが上位にランクインされたのですが、なんとエンディング画面が堂々と放映してしまったのは衝撃的でした(『ゲームセンターCX』が放映されるまで、ゲームのエンディングが放映されること自体がかなり珍しかった)。ネタバレとはいえ、この素晴らしいエンディングを知ったおかげでクリアー目標ができたので、結果的にはよかったのかも知れません。今思えば、ここまでドラマチックな演出があるシューティングは当時は他になかったと思います。

1989年に行われた第5回ハドソン全国キャラバン公式ソフトで、当時劇場公開していた東宝の同名SF映画のタイアップとして製作された縦スクロールシューティングです。
販売元こそはハドソンですが、開発には『ザナック』『アレスタ』で知られるコンパイルが関わっており、同社のシューティングらしい高速スクロールによるスピード感、派手なパワーアップと破壊しまくりの爽快感が備わった内容に仕上がっています。当時、シューティングゲームはまだ人気のジャンルであり、本作もまたユーザーの間で高く評価され、以降に発売されたキャラバン系シューティング(『スーパースターソルジャー』『ファイナルソルジャー』『ソルジャーブレード』など)を一部で「ガンヘッドタイプ」と呼ばれることからも、本作が以降のPCエンジンシューティングに強く影響を与えたのは言うまでもありません。なお、1992年に発売されたスーパーファミコンの『スーパーアレスタ』(東宝)は本作のリメイク的な内容となっています(今思えば、『ガンヘッド』と『スーパーアレスタ』は東宝&コンパイル繋がりですね)。
 
プレイヤーは、メインショットとサブウェポン、そしてストック制のボンバーを装備した自機を操り、全9面(ステージ表記はAREA)を攻略していきます。メインショット、及びサブウェポンはそれぞれ4種類あり、ステージ中に出現するウェポンアイテムを取ることによって装備しているウェポンを切り替えることができ、同じアイテムを取り続けることにパワーアップすることができます。また、自機はセレクトボタンを押す事によって任意で移動スピードを調整することができます。セレクトボタンまで使う操作性なので、今からプレイする場合はNECアベニューから発売されたアベニューパッド3でプレイすることをお勧めします(但し、本作発売時にはアベニューパッド3は未発売)。
 
コンパイルのPCエンジン作品としては『エイリアンクラッシュ』(販売元ナグザット)と並び、初期のPCエンジンソフトでしたが、グラフィック面、サウンド面は当時のPCエンジン作品としてはかなりハイレベルな仕上がりでした。それまでのファミコンでは不可能だったメタリックなグラフィックの質感、大量に敵キャラやアイテムを出現させても処理落ちやスプライト欠けの起きない高速な画面処理、サンプリングをドラム音に用いた重厚なBGMなど、ゲームとしての面白さだけでなく、技術的な面でも完成度が高く、初期のPCエンジンソフトを代表することだけはあります。特にサウンドに関しては、説明書に音量を上げることを勧めているほどで、改めてメーカーのサウンドに対する自信を伺い知ることができます。
 
難易度としては、終盤が厳しい以外はシューティングが苦手な人でも手軽に爽快感が味わえ、上級者なら裏技の「GOD」(もっとも難易度が高いモード)で遊べばかなり熱い弾避けを味わうことができるなど、幅広い層に向けて調整されているのには好感が持てます。この辺もユーザーに支持されている所以かと思います。今となっては自機の当たり判定が大きいような気もしますが、当時のシューティングゲームはそんなものだったので、こればかりは仕方がありません。
シューティングとしては非の打ちどころがないのですが、それでも唯一気になったのが、コンパイルシューではお馴染みの「道中の長さ」。これに尽きます。大抵のステージは2部構成となっていますが(途中で中ボスみたいのが出現する)、あまりにも道中が長く、途中でダレてしまい、しかも全9面もあるので、正直これの半分ぐらいの長さで丁度良いボリュームのように感じます。この道中の長さは、コンパイルシュー最終作『ザナック×ザナック』(PS用ソフト。2001年発売)まで変わらなかったので、伝統といえば仕方ないのかも知れませんが、他社製シューティングの後にプレイするとやはり辛いところです。
 
筆者はこのゲームをプレイするのが結構遅く、ソフトの発売から2年経っての1991年のことでした(当時筆者は中学2年生)。友達からコアグラフィックスを安く譲ってもらったのですが、肝心のソフトを買う予算が少ししか残っていなく、たまたま中古で安く売られていたこの『ガンヘッド』と『ダライアスプラス』『凄ノ王伝説』をセットで購入しました。ただ安いという理由だけでなく、どちらもユーザーによる評価が高かったのも理由の一つでした。初プレイの感想は、2年前のゲームであるにも関わらず、当時の最新ハードであったスーパーファミコンのソフトに見劣らないビジュアルやサウンドに感心した記憶があります。勿論、見た目だけでなく、説明書を読まなくても手軽に爽快感が味わえるゲーム性が気に入り、これだけをひたすらプレイしました(もっとも手持ちのソフトが他にもなかったのもありますが)。今となっては道中が長いので、気合いをいれないとプレイする気にはならないのですが、今でもAREA7で流れるクライマックス的な雰囲気のBGMが気に入っています。裏技とはいえ、サウンドテストが搭載されているのは嬉しい限りです。
ただ、これがきっかけにPCエンジン派になることはなく、この後メガドライブを購入することになり、筆者がPCエンジンに本格的に手を出すのはさらに数年後のことでした(中学生にはCDロムマシンがあまりにも高額すぎた)。
 
余談ですが、大会用に作られた特別バージョンとして『ガンヘッドSpecial Version』が存在しますが、これには本編の3面をベースに2分モードと5分モードが搭載されています。あくまで商品として作られていないので、レザルト画面になったらリセット以外にタイトル画面に戻る方法がなく、しかもその時に獲得したスコアは消去される(そもそもこのバージョンではハイスコア表示が存在しない)仕様で、天の声2等によるバックアップ機能は非搭載です。なお、このバージョンは一般ユーザーにもプレゼントされ、大会入賞者だけでなく、本体購入キャンペーンや、同時期に発売された『ブロディア』の販促キャンペーンの一環として懸賞が行われました。PCエンジンの非売品ソフトとしてはかなり多めな2万枚(公称)が生産され、21世紀に入った今でも比較的容易に手にすることができます。というか、HD時代以降のシューティングは一万売れるかどうかのレベルですが(参考までにドリームキャスト版『斑鳩』は3万本)、非売品ソフトでありながらニ万枚も生産できたなんて、当時はかなりシューティングバブルだったことを実感します(笑)。
 
それはそうと、この記事を書いている時点で原作となる(?)劇場版を観たことがないのですが、観る価値はあるのでしょうか?

↑このページのトップヘ