カテゴリ: ファミコンレビュー

本作は、今は亡きUPLを代表するアーケード作品『忍者くん 魔城の冒険』の続編タイトルをファミコンに移植したもので、UPL唯一のファミコンソフトとしてアーケード版稼働の翌年である1988年に発売されました(なお、初代忍者くんのファミコン版はジャレコが販売)
 
ジャンルは前作と同じくジャンプアクションゲームですが、プレイヤーが行えるアクションは前作よりも多彩になったのが特徴で、基本操作であるジャンプの他に、三角跳び、壁のよじ登り、泳ぎなどが追加され、それらアクションをたった2ボタン+方向レバーで行えるシンプルな操作が魅力です。
それだけでなく、ボーナスステージをクリアすると手裏剣以外にも新たな武器が手に入り、ゲーム中にそれら武器を切り替えることができます。

ステージは岩山や海や洞窟と多彩で、前作と同様「敵を全滅させるのが目的」のステージだけでなく、ひたすらゴールに向かっているステージや、水中ステージ、そして前作にはなかった巨大ボス戦もあり、『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)以降のジャンプアクションゲームだけにそのバリエーションは豊富です。
前述のボーナスステージは、通常ステージ同様に敵にやられるとミス扱いになりますが、ボーナスステージそのものをパスすることも可能です(勿論、その代わりに武器は手に入らない)

気になる移植具合ですが、ファミコン版『エグゼドエグゼス』『ソンソン』『1942』などを手掛けたマイクロニクス社が移植担当しているだけあって、同社ならではの
「フレームレートを30fps程度に落とす代わりにアーケード版の要素を出来る限り再現する」
という方向性の移植ですが、無理矢理感があった同社の移植作の中ではかなりの良移植といえます。

例えば、
>長丁場といえる全32ステージは、ステージ開始デモも含め、ほぼ完全に収録(ただし容量の関係で一部の背景はオミットされている)
 
>BGMの再現性も、流石に音源によるスペック差はあるものの、音の貧弱さはさほど感じさせず、あの哀愁漂うメインBGMも上手くファミコン音源で再現
 
>アーケード版よりもフレームレートを落としながらも操作性抜群で、特殊な操作である三角跳びもフレーム落ちの影響なく問題なく出せる。
 
>プレイヤーの動きを読んでいるように見える賢い敵のアルゴリズムの再現性。
 
>目立たないところでは、パレットパターンの切り替えを利用した、水中を潜るごとに水面の色がどんどん濃くなっていく演出など

気になる部分といえば、キャラクターがチラつくのはハードの仕様上仕方ないとしても地形までチラつくのは気になりましたが(バンク切り替えが要因?)、ファミコンのスペックを考慮すれば概ね満足できる内容でしょう。

ただ、これはアーケード版がそうであったように、全32ステージはあまりにも長丁場過ぎるのと、4面が「初心者殺し」というほどの序盤の壁と言えるほど難しいのが難点です。特に4面は、一度でもここでミスすると再スタート時に永久パターン防止キャラがすぐに登場するので、ここでミスしたらリセットして最初からやり直した方が手っ取り早いバランスは初心者には厳しいです。裏を返せば、それだけアーケードに忠実なバランスといえます。
 
当時の水準でのアーケード移植モノとして見れば出来は良好で、アクションゲーム単体として見ても操作性がよく、アクションが多彩だけに慣れるほど面白くなっていく学習性の高いゲーム性は評価できるところです。
完全にアーケード版の攻略法が使えるわけではありませんが、ファミコン版をクリアできる実力があればかなりいいところまで行けるかと思います。
確かに難しいゲームですが、コンティニューが標準で無限に使えるので、学習性の高いゲームだけに繰り返し挑戦できるのも嬉しいところです(流石に4面はコンティニューするよりも最初からやり直した方がいいですが)。
敵のアルゴリズムも凝っているので、慣れていても油断しているとミスする適度な緊張感も忍者くんシリーズらしいバランスといえます。
 
アーケードの完全移植版が発売されていないことを考えると、このファミコン版はアーケード版ファン必携のアイテムといえなくもありません。
当時はアーケードの完全移植が夢のまた夢の時代だったので、これ以上望むのは酷だと思います。

このソフト、実は発売当時…小学生の頃からプレイしていて、その頃はまだアーケード版の存在を知らず、
「多くあるファミコンのアクションゲームの一つ」
として遊んでいました。三角跳びをマスターする以前に、序盤の殺しどころで有名な4面がどうしてもクリアできず、
「自分にとっては激ムズゲー」
としてしばらく放置していました。
それから長い年月が経ち、ちょっとしたきっかけでアーケード版をやる機会があったのですが、その時の感想が
「おおっファミコン版とあまり変わらないじゃん!」(笑)
 
出会いが本来と逆になりますが(笑)、これを機に久し振りにファミコン版をやったらその移植度の高さに驚いた記憶があります。
実のところ、アーケード版は最後までクリアしていないので終盤ステージの再現度はわかりませんが、ここまで出来ていれば文句はありません。
 
ここまで出来がよければプレイ環境にこだわりたくなるもので、これをプレイする時、必ずといっていいほど初代アスキースティックを用意しています。
十字ボタンではやりにくい「三角跳びをしながら攻撃」がスティックだとやりやすいので、私の中ではプレイには必須の周辺機器となっています。

本作は1989年にナムコから発売された2Dタイプの非リアルタイム制RPGで、プレイヤーは芸能プロダクションの新人マネージャーとなり、かつて実在した今はなきアイドルグループ(?)「チャイルズ」(久留龍子・磯野貴理子・茂原裕子の3名で構成)をトップアイドルにすべく日本全国をキャンペーンで巡りながらファンを集め、最終的にスターの殿堂「ときおホール」のコンサートを成功させるのが目的となります。
なお、タイトルには「ラサール石井」の名が冠しているものの、実際はチャイルズをプロデュースしただけで、ゲームの主人公でもなければ、ゲームの製作・企画には関わっていません。
 
近代の日本風の世界(?)を舞台にしているだけあって、実在の地名をもじった「あせくさ(浅草)」「すっぽんぎ(六本木)」が登場したり、レストランやデパートやホテルなどの施設が各所に設置されていたり、ドラクエや様々な作品(自社・他社問わず)をパロったネタが仕込まれたりと、従来のRPGとは一風変わった設定となっているのが特徴です。
 
戦闘シーンはドラクエタイプのランダムエンカウント&非リアルタイムのコマンド入力方式ですが、本作での戦闘は「営業をする」という設定で、敵は一般人という設定となっています(一般人とはいえ、登場するのがポットだったり蛇だったりしますが、ここでは突っ込まないでおきます。というか、こんなことで気にしてはゲームになりませんw)
各種コマンドの「たたかう」「よいしょ」(敵にゴマすりする)に、「ぼうぎょ」「たえる」に置き換えていて、この営業に成功したり耐えきったりすると、その一般人はチャイルズのファンとなり、人気(要は経験値)とお金を得ることができます。
人気が一定値獲得するとレベルアップし、レベルが上がるとコンサートイベントでの成功率に影響したり、マネージャーの「よいしょ力」(攻撃力)が上がります。
また、営業(戦闘)で一般人がおさわり攻撃を仕掛けたり、道中で尿意が溜まってきたりするとフマンド(不満度)がたまり、それがマックスまで溜まると石井光三オフィスに強制送還されるハメになります。なお、尿意はトイレや紙おむつやマ法(魔法)で解消し、フマンドはレストランでの食事かマ法で解消することができます(むしろ紙おむつを使ったらそれこそ不満度が上がりそうな気がするが、ここでは気にしないでおきますw)。
 
アイドルを題材にしているだけにライブイベントがあるのも特徴で、日本各地に点在する6ヶ所の公会堂コンサートを制覇し、さらに「スターの装備」を揃えると、最終目的であるときおホールでのコンサートに挑めるようになります。
コンサートではコマンド選択によってチャイルズを指示し、持ちネタを上手く組合せ、時間内に観客の受けを取るとそのコンサートは成功したことになり、チャイルズがレベルアップします。このコンサート部分は、後に同社がリリースすることになる『アイドルマスター』の先駆けと言えなくもありません(特にライブシーンで時間内にアイドルに指示を与える部分)。
また、コンサートの予行演習として無料でデパートの屋上でキャンペーンを行うことも可能です(ここで成功するとお金を貰える)。
 
物語や設定はパロディで構成され、全体的におちゃらけ感があり、最後の超展開には賛否がありますが、ゲームバランスは良好で、操作性も癖がなく、コンサートイベントなどの本作ならではの要素も盛りだくさんで、ファミコンRPGとしては佳作レベルの完成度です。音楽面も、アイドルグループを題材にしてあるだけあって、彼女たちの歌(「花のチャイクエ音頭」「レベルアップ!ときめいて」)にアレンジされたものが各所でBGMとして使われ、つい口ずさみたくなるほど曲自体の出来もいいです。
昔のゲームらしく次に何をすればいいのか分かりにくかったり、理不尽な謎もあったり、移動速度がやや遅かったり、6つしかアイテムが持てなかったり、エンカウント率が微妙に高い気もしますが、同時期のRPGではそれが当たり前だったので、リアルタイムでプレイしてた人にとっては気になる要素ではありませんでした(ソースは当時プレイした自分)。
 
ただ、当時としても認められない部分の一つがグラフィックのしょぼさ。「ファミコンだから」という理由にしても、発売されたのが1989年ということを考慮すると厳しく感じます。この頃になると、ファミコンの限界に挑むようなグラフィックのゲームが出てきた時期で、同年に発売された同じメーカーの作品である『ケルナグール』(開発:ゲームスタジオ)と比べてみても本作のグラフィックは時代遅れで、まるで1986年に発売された初代『ドラゴンクエスト』(エニックス)並の安っぽくのっぺりとしたグラフィックです。少なくとも、専門雑誌に掲載されたこのグラフィックを見て欲しがるような人間は少なかっただろうし、売れずに発売して一年もしないうちに980で投げ売られた事実も非常に納得します。
 
他にも、セーブ方式は当時としても時代遅れなパスワード方式ですが、32文字と少なく、読みやすいフォントなのは好印象です。当時のバッテリーバックアップは発展途上の技術ということもあり、ちょっとした接触事故でデータ喪失する恐れがあったので、今思えばパスワード方式も悪くなかったです(但し、パスワード短縮化を狙ったのか、コンティニューするたびに名前入力する必要がある)
 
多少気になるところもありますが、そこは多くの名作タイトルをリリースしてきたナムコ。新機軸の要素を採用しながらも、ドラクエのように気構えなしに遊べる作りは流石です。ナムコは他にも、芸能人を題材にしたファミコンソフトとして『さんまの名探偵』を発売しましたが、本作もそれに勝るとも劣らない出来だと思います。
 


 
ところでこのゲーム、一応はタイアップ商品ですが、お笑いアイドルグループ「チャイルズ」は1989年当時としてもマイナーな存在で、TVCMまで放映されたものの、当時小学生だった私には「誰?」と思うほど知られていませんでした。
発売から一年(1990年)が経ち、ソフトが大量に売れ残ったのか、前述の通り新品980円で投げ売られることになるのですが、同年は『ドラゴンクエストIV』『ファイナルファンタジーIII』『デジタルデビル物語 女神転生IIなどが発売された大作RPGラッシュでありながらも当時の私はそれらタイトルを次々とクリアするほどRPGに飢えていたので(その頃私は中学生だったので暇は結構あった)、この『チャイルズクエスト』「安かったから」という理由で挑戦しました。
「(1990年当時としても)古臭いグラフィックだなあ」「今時パスワードかよ」と文句言いながらやっていましたが、独創的な設定ながらも、ドラクエをパロディ化するだけでなく、ゲーム的にも研究した後が見られ、色モノ的な見た目に反し、ゲームバランスやシステム面で遊びやすい作りに好印象でした。おかげでなんとかラスボスまで辿りつくことができました(ラスボス戦はちょっとした仕掛けがあったので、倒すのに時間が掛かった)。
 
当時はソフト代を工面するのに苦労した中学生ということもあり、クラスメイトの間でソフトの貸し借りがあったのですが、クラスの友達に『チャイルズクエスト』を貸したら、これが大評判。いくら安いとはいえ、色モノ的な感じで誰も手を出さなかったのか、実際にやってみて、見た目に反した面白さにクラスの間でちょっとしたブームとなりました。自分が気に入ったゲームを友達に勧め、それが広まり、クラスの皆が面白がってくれたのを見て、いちチャイクエファンだった私は嬉しかったと記憶しています。あと、クラスの誰もが悩んだ「音感クイズ」は自力で解いたので、ちょっと鼻が高かったです(丁度その頃、ファミコンの『忍者ハットリくん』をやってので、たまたま思い付いただけですが)
 
ここで初めて、値段や見た目がゲーム内容に比例しないと思い知らされるのですが、誰からの情報を得ずに、自分だけで面白いソフトを発掘する楽しみをこのゲームで学びました。
ゲームとしては十分に面白かったのですが、自分の中のゲーム観を変えたという意味でも思い入れ深いゲームです。
 
ただ、気になるのがネット上での本作の立ち位置。その色モノ的な雰囲気から「クソゲー」というレッテルが貼られているのをよく見かけますが、実際のところ操作性は問題ないし、ゲームバランスは良好、バグらしいバグはなく(少なくとも私がプレイした限りは発見できなかった)、流石に今やってみれば古さは感じると思いますが、少なくとも当時のファミコンRPGとしての水準は十分に満たしています。
『チャイルズクエスト』を定価で買ってきて、それでもってつまらなかったら「クソゲー」と言ってもいいのですが(事実、パロディやギャグが受け付けない人には厳しいかも?)「クソゲー」という言葉を軽々使っている多くの方は、残念ながら「クソゲー」の本来の定義を知らないで使っているように感じます。
この記事を書いている本人ですらも今やって楽しめるかどうかは微妙ですが、当時は楽しめたのは事実で、クソゲーかどうかは当時の時代背景を知った上で評価するべきだと思います。20年以上昔のゲームに向かって、「古臭いゲーム」というのはナンセンスです。それは当たり前ですから(笑)

本作は、1983年にアーケードで稼働されたナムコの縦スクロールシューティング『ゼビウス』を、その翌年である1984年にナムコット(当時のナムコの家庭用のブランド名)名義でファミコンに移植したものです。
アーケード版がヒット作だったこともあり、このファミコン版だけでなく、当時の国産パソコン各機種(X1MZシリーズ、FM-7PC8001&88019801など)に移植されるほどの人気を誇り、後にアーケードや各機種に多くの続編やスピンオフ作品が発売され、80年代初期のナムコの代表作と一つと言えます。
また、『エアーズアドベンチャー』『忍者じゃじゃ丸くん 鬼斬忍法帳』で知られるゲームクリエイター「遠藤雅伸」氏のナムコ在籍時代(後にゲームスタジオを設立)のデビュー作でもあります。
 
ゲーム内容は、プレイヤーは戦闘機ソルバルウを操り、対空攻撃「ザッパー」と対地攻撃「ブラスター」の2種類のショットを撃ち分けながら、敵機や地上兵器や空中要塞を破壊していき、全16エリア(ループ制・エンディングなし)を攻略していきます。
 
オリジナルであるアーケード版は、縦スクロールシューティングにおけるエポックメイキング的な作品として知られ、現在のシューティングのような自機のパワーアップなどはなく、今となっては非常にシンプルな作りですが、当時としては「革新的」という言葉も決して大げさでなく、全ての要素において次世代的なクオリティを誇りました。
中でもグラフィックの美しさは当時の水準を遙かに超えており、以前のビデオゲームのキャラクターは原色中心、かつ背景が単色なのがほとんどでしたが、『ゼビウス』では中間色を使用した陰影のあるキャラクター表現、森や砂漠や海などの自然を舞台とした色鮮やかなステージ構成は他社を圧倒するものがありました。
また、恐らく業界初であろう隠しキャラクターの存在(バグではなく意図的に用意されたもの)は当時としては斬新な要素で、後のファミコン最盛期における裏技ブームを見ると、その影響は計り知れないものがあります。
他にも、ビデオゲームとしては初めてゲームミュージックを扱ったレコードが発売されたり、本作を題材にした小説『ファードラウド』が発表されたりと、当時のゲームでは珍しいゲーム以外のメディアにまで展開されたのが特徴です。
 
当時の家庭用ハードは、アーケードの完全移植版を遊べることが夢のまた夢の時代で、このファミコン版もまたアーケード版とは圧倒的な性能差があり、ファミコンの性能を考慮した移植になっているのが特徴です。
画面比率の関係(アーケードは縦画面、ファミコンでは横画面)でスクロールや自機の動きが遅かったり、スプライト性能の関係で空中要塞アンドアジェネシスが動かなかったり、容量の関係でナスカの地上絵が削除されましたが、ゲーム内容に関しては概ねアーケード版のままで、隠しキャラの位置まで再現されています。
むしろ、ゲームセンターではまだ稼働している店があったほどの人気作が安価な家庭用ハードで遊べる事実が大きかったのか、このソフトのためにファミコンを購入したり、当時の流通の関係で(特にカートリッジは製造に23ヶ月掛かった)発売当初に買えず、次の再販まで何ヶ月も待ってようやく購入できたユーザーも多く、最終的にはミリオンを達成するほどのロングランヒットとなりました。
他にも、発売から数ヶ月後に専門誌で発表されたディップスイッチモードに突入するための隠しコマンドも話題となり(タイトル画面でロゴ上部の星が移動している最中にコントローラIIボタンかBボタンを押しながら、十字ボタンの右を9回、上を2回、左を2回、下を9回押す)、主に自機を無敵にしたり、難易度の設定変更できるこのモードは、ロングランヒットの要因の一つになりました(なお9229という数字はファミコン版プログラマーが当時乗っていたバイクのナンバーが由来)。
ちなみに隠しキャラ「ソル」の出現数がアーケード版よりも1本多いのですが、サントラCD『スーパーゼビウス・復刻版』(サイトロンレーベル)付属のブックレットによると、本来アーケード版もファミコン版と同じソルが植え付けられてようですが、何かしらの不具合で1本出現しなくなってしまったようです。
 
デビュー当初から名作と呼ばれている『ゼビウス』ですが、私が初めてプレイした『ゼビウス』はオリジナルのアーケード版ではなくファミコン版でした。
当時の私は小学校低学年(小学12年)だったので、アーケードゲームの知識は全くなく、『オールアバウトナムコ』(電波新聞社刊)を読むまではしばらくファミコンオリジナルタイトルだと思っていました(実話)。
しかも、ファミコン版をプレイする12年ほど前(保育園時代)に『ゼビウス』を基にしたエニックス(後のスクウェア・エニックス)のPC-8801用縦スクロールシューティング『アルフォス』(制作は『森田将棋』で知られる森田和朗氏)をプレイしていたので、むしろ「このゲーム(ゼビウス)、アルフォスに似ているじゃん!(ちなみに当時はパクリという言葉は一般的ではなかった)」とずっと思っていました(笑)。
私が生まれて初めてプレイしたコンピューターゲームが『アルフォス』というのもありますが、当時は慣れないキーボード操作に悪戦苦闘しながらもかなりやり込んだので、ファミコン版『ゼビウス』をプレイした時には既に新鮮さがありませんでしたが、それを差し引いてもコントローラによる抜群の操作性や滑らかなスクロール、チラツキが起きないキャラクターのアニメーションには、パソコンゲームあがりの私にとっては十分に魅力的に感じ、なんだかんだいって無我夢中に遊び込みました。
世間一般的には(?)「ナスカの地上絵がないのは残念」と言われているようですが、当初アーケード版を知らなかった私にとっては気になる要素ではなく、むしろ「遊びやすくなったアルフォス」という認識で遊んでいたので、移植度に関しては全く問題がありませんでした。
 
2004年にファミコン生誕20周年(本当は21年目)を記念してゲームボーイアドバンスでファミコンミニシリーズ(ゲームボーイアドバンス向けに作られたファミコンソフトの復刻ソフト)が展開されましたが、私が一番最初に買ったのはこの『ゼビウス』でした。そこまで好きな作品かと言われればそうでもなく、実際はほとんどのタイトルが売り切れていて(特に『スーパーマリオブラザーズ』『ゼルダの伝説1』は速攻に売り切れたとか)、やむを得ず『ゼビウス』を購入してしまいました(笑)

本作はスクウェア・DOGブランドより1987年にファミコンディスクシステム用として発売された3Dタイプのアクションゲームで、アップルII界の天才プログラマーナーシャ・ジベリ氏がファミコンソフトとしては初めて開発に関わったタイトルでもあります。
特殊処理による立体映像が特徴で、ソフトに付属する赤青の3Dメガネ「とびだせメガネ」を使用すると画面が立体的に見えるモードに切り替えることができます(ゲーム中ならセレクトボタンを押せばどこでも切り替えが可能。勿論、ソフト単体でも問題なく遊べる)。
なお、ゲーム性は変わらないものの、グラフィックがシリアス調に、ゲームスピードがより高速化された続編『JJ』が同年12月に発売されています。
 
ジャンルはひたすら画面奥方向に向かって走っていくタイプのステージクリアー式3Dアクションゲームで、柱にぶつかって出現するアイテムを取ったり、敵を避けたり、穴を飛び越えながら画面の奥に向かっていき、ステージ最後に待ち受けるボスを倒すとステージクリアーとなります。
8ステージ構成で、ひとつのステージは4つに分かれ、エンディング後に表示されるコマンドをタイトル画面で入力することによってゲームスピードがアップした裏面をプレイすることができます。
 
見た目がセガの3Dシューティングゲーム『スペースハリアー』にそっくりですが、本作の主人公はボス戦以外、宙に浮かぶことも、ショットを撃つことができず、初期状態では走るかジャンプ以外のアクションはできません。ショット(本作の呼び名はミサイル)は柱にぶつかった時に出現するアイテムを取る事で可能ですが(ボス戦はアイテムなしでショットが可能)、ショットは単発ということもあり敵を撃ち落とす爽快感は低めで、ジャンプでマップを乗り越えていくステージ構成だけにジャンプアクションの色合いが強いです。
道中のところどころに開いている穴は、広さによっては大ジャンプや、スプリング台(本作の呼び名は“ジャンパー”“スーパージャンパー”)を利用したり、柱の上を足場に使わなければ乗り越えられない箇所があります。ただ適当にジャンプしているだけではジャンプ力が足りなかったり、逆に穴が狭いところで大ジャンプして次の穴に落ちてしまうことがあるので、ステージマップをある程度覚える必要があります。しかも、先のマップが見えにくい3D視点なので、アドリブで越えるのはかなり厳しいです。
ボス戦では、プレイヤーが自由に宙を浮かんだり、ショットを撃つことができるので、それこそ『スペースハリアー』のようなゲーム性に切り替わります。ショットはある程度敵に向かってホーミングし、各ステージのボスキャラクターは『スペースハリアー』に登場するドラゴンのように多関節スプライトで表現されているので、スタッフが明らかに『スペースハリアー』を意識して作られたかわかります(しかし、ボス戦で飛べるなら道中でも飛べたらと、誰もが思うでしょう)。
 
ファミコン中期のタイトルとしてはプログラムの技術力は高く、中でもプレイヤーの動きに合わせてタイル状のフィールドが左右に滑らかにラスタースクロールするのは見ていて気持ちいいです。前年に発売されたセガマークIII版『スペースハリアー』のフィールドはただの垂れ流しだったので、この滑らかなラスタースクロールを家庭用のゲーム機で再現されたことに衝撃を受けた記憶があります。
また、ファミコンにはスプライトを拡大させる機能がないので、グラフィックパターンを一つ一つ描いていますが、滑らかに迫ってくる(ように見える)柱や敵の疑似的な拡大処理もなかなかで、位置関係もわかりやすいです。
なお作曲担当は植松伸夫氏で、音楽は曲数が少ないものの、同氏の代表作であるファイナルファンタジーシリーズとは違ったカラーの軽快な音楽はコミカルな作品世界観にマッチし、ノリもなかなかです。メイン曲は一つしかありませんが、プレイしていて口ずさむほどの名曲です。
ただ、肝心のとびだせメガネを使用した時の立体映像が、人によってはチカチカするので(右目用のグラフィックと、左目用のグラフィックが交互に高速に切り替わるため)、長時間のプレイには向きません。とびだせメガネ対応ソフトが他には同社の『ハイウェイスター』しかなかったことを考えると、実験色が強かったデバイスのように感じます(そのせいか続編『JJ』には非対応)。しかし、立体映像をオフでプレイしてもゲーム性に響かないので、あくまで立体映像はオマケとして捉えても問題はありません。
 
難易度に関しては、コンティニューが標準で搭載されているとはいえ、クリアーには上級テクニックが必須なところもあるので、それなりにアクションゲームに慣れている人でも難しく感じるはずです。中でも、後半ステージになると、巨大な穴を柱の上を連続して乗り移って飛び越えなければならない箇所があるのですが、3D視点だけに人によっては柱の座標が見た目ではわかりにくいので、3Dタイプのゲームが弱い人にはかなりの壁になります。当時、テレビ東京で放映されたファミコン専門番組『ファミっ子大作戦』内のコーナーの一つである『橋本名人のハイテク道場』で該当部分の攻略方法が紹介されたのですが、この「柱にぶつかって距離を保つ」というテクニックを観ていなければ、筆者はここで間違いなく投げ出していました。
 
実は、今回の記事を書くにあたってほぼ同一内容の北米版をプレイしました。北米ではディスクシステムが発売されなかったので、メディアがロムカートリッジで、タイトルが『3-D Worldrunner』に変更され、販売元がアクレイムとなっていますが、音源や難易度、3Dモードの切り替え、ゲームオーバー後に第二のタイトル画面に戻される仕様は国内版と同じです。現在、完動品の本体やディスクを入手するのはかなり困難なので、どうしてもプレイしたい方はこちらを手にするのも手だと思います。
 
前述した『ファミっ子大作戦』の『橋本名人のハイテク道場』ですが、これはバンダイ(当時)の橋本名人が自社・他社を問わずファミコンソフトの攻略法を伝授するコーナーなのですが、それを見て当時の筆者は子供ながらも「何でバンダイのゲームじゃないのに他のメーカーのゲームを攻略するんだろう?」と疑問に思っていました。ただ、橋本名人は後年スクウェア(現スクウェア・エニックス)に移籍することになるので、単なる偶然とはいえ、橋本名人とスクウェアとの付き合いはこの頃からあったことになります(余談ですが、同コナーで『ドラゴンクエストIII』のピラミッドの攻略法を紹介したこともあったので、エニックスとの付き合いもこの頃からあったりします)

本作は、サン電子が1986年の年末商戦に合わせて発売されたファミコンオリジナル作品で、ファンタジー世界を舞台としたステージクリアー方式のサイドビューアクションゲームです。
ビキニアーマーをまとった美少女ルシアを操り、やや広めなステージを探索しながら、各種アイテムを手に入れてプレイヤーをパワーアップさせたり、各ステージに待ち受けるボスを倒し、全16ステージを攻略していくのが目的です。
ルシアの攻撃手段は標準装備の剣の他に、マジックポイントを消費させることによって使用できる魔法攻撃の全6種で、それら魔法はアイテム部屋に隠されている魔法アイテムを取ることによって使える種類が増えていきます。
同年に発売された『ドラゴンクエスト』(エニックス)のヒットによる影響か、経験値の概念こそはありませんが、RPG的な成長要素を取り入れているのが特徴となっています。
 
それまで他社作品と比べ、ひと癖のあるゲーム(というかヘンなゲーム)が多かったサン電子のゲームとしては比較的遊び易い作りで、コンティニューが無制限なのも当時のアクションゲームとしては親切です。また、美少女系アニメファンを意識したパッケージアートも従来のサン電子作品にはなかったもので(原画担当は以前からサン電子に在籍していたもりけん氏)、サン電子ファンのみならず、そういった美少女キャラ目的で購入した人も多くいたと思います。
初期サン電子作品らしい独特な癖がないとはいえ、それでもいくつか厳しいところがあり、例えば次々と湧いてくるように出現してくるアメーバ状の雑魚敵「ニュール」が序盤からいきなり登場したり、スクロールアウトによってボスキャラが消失してしまうバグがあったり、ノ―ヒントではわかりにくい謎解きがあったりと、攻略情報がないと厳しい箇所がいくつかあります。その頃のファミコン作品ではそういった不親切なゲームが多かったので当時はあまり気にすることでもありませんでしたが、今改めてプレイすると不親切のように感じます。
ただ、スタート時のルシアは若干動きが硬めですが、パワーアップアイテムの一つである「ブーツ」を取るごとにスピードやジャンプ力がアップし、かなり快適に操作できるので、操作性に絡むストレスはそれほど感じさせません。一部にバランスが悪い部分もありますが、当時のアクションゲームとしては佳作レベルだと思います。
 
筆者はこのゲームをリアルタイムではプレイしていなく、初めてプレイしたのがスーパーファミコンの発売を控えた1990年と記憶しています。もりけん氏が手掛けるパッケージイラスト(というか主人公ルシアの雄姿)に惹かれ、発売当初から狙っていたソフトでしたが、その頃の筆者はお小遣いに余裕の無い小学三年生だったこと、そして親にねだるには恥ずかし過ぎるパッケージイラストということもあり(笑)、しばらく入手を諦めていたソフトでした。それから4年後に中古1500円(だったと思う)でようやく手にすることができたのですが、その頃は中学生だったので、流石にもりけん氏が描くルシアはドットで再現できるとは思っていなく、どちらかというとキャラクターグッズとして買いました。あくまでパッケージ目的なので、ゲームとしてはあまり期待していなかったのですが、実際にやってみて、アクションゲームとしての出来の良さ、意外なその面白さにハマってしまいました。ただ、当時はネット社会でもなかったので手元には攻略情報がなく、当時本作をプレイしていた友人もいなかったのでその時はクリアーできませんでしたが、それでも終盤ステージまで辿り着くまでやり込みました。
正直、筆者はサン電子作品にはあまりいい印象を持っていなく(セガのアーケード移植物であるファンタジーゾーン12、アフターバーナー、エイリアンシンドローム除く)、操作性にひと癖があったり、見た目的にも地味なゲームを出していた印象が強かったですが(そもそも小学生に同社が得意とした時代劇物なんてニーズがほとんどないのでは?と思った)、それから『メタファイト』やファミコン末期の『へべれけ』『ギミック!』をやるにつれ筆者の中のサン電子の評価が上がったので、自分の中のサン電子の印象を変えたという意味でも本作の功績は大きいです。
 
あまり知られていませんが、同時期のナムコットがそうであったように、本作もまた任天堂VSシステム用(ファミコンと同性能のシステム基板)としてアーケードに逆移植される予定がありましたが、諸事情により発売が中止となりました。一本のソフトを買えば長時間遊べる家庭用ゲームと、100円で数分プレイが基準のアーケードゲームでは作りが異なるので、逆移植に際し、どのようなアレンジされているのか興味があっただけに発売中止は残念です。
 
余談ですが、ナグザットから発売された『コリューン!』に登場するプリンセスですが、イラストレーターのもりけん氏によると、PCエンジン界にももりけん“が活躍していることをアピールするためにルシアをモデルとしてデザインをしたようです。『コリューン!』に描かれているプリンセスは設定上子供となっていますが、エンディングではルシアまんまの姿を拝見することができます。筆者のようにルシア目的で『マドゥーラの翼』を買った人は必見です(多分…)。
 
ところで、『マドゥーラの翼』のパッケージイラストのバックに描かれている謎の男は一体誰なんでしょうか?エンディングに登場する王子には見えないですし…(そもそも王子自体唐突に登場するので、深い設定はないのかも知れませんが)

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